マインドフルネスと苦しみを乗り越える道「八正道」の関係性

本記事でわかること

・マインドフルネスと八正道の関係
・八正道の実践方法

マインドフルネスを学んだり実践したりしていると、源流を辿りたくなるのが人間の性。

仏教はマインドフルネスの源流ですが、その中で「八正道」の教えが修行法の中核となっています。

実は、マインドフルネスは八正道の1つに数えられ、「正念」と呼ばれています。

八正道は8つの実践方法がありますが、これらはそれぞれ繋がっており、八正道を実践することでマインドフルネスも実践しやすくなるんですよね。

今回は、八正道について詳しく解説しつつ、八正道とマインドフルネスのつながりについて見ていきましょう。

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八正道を実践すると、マインドフルネスが深まりますよ!

八正道とはなにか?

八正道は、お釈迦様が悟りを開く方法として説いた教えになります。具体的には以下の8つから成り立ちます。

・正見-正しい見解
・正思惟-正しい思考
・正語-正しい言葉を使う
・正業-正しい行い
・正命-正しい仕事
・正精進-正しい努力
・正念-正しい気づき
・正定-正しい集中

それぞれ詳しく解説していきます。

正見-正しい見解

正見とは、正しい見解を持つこと。ここで言う正しい見解とは、「ありのままに物事を観ることで、生まれる見方」です。

具体的には、主に「四聖諦(ししょうたい)」と呼ばれる以下の4つの真理を指します。

四聖諦

苦諦(くたい)
…生きることは苦しみ(不満)であるという真実

集諦(しゅうたい)
…苦の原因は煩悩であるという真実

滅諦(めったい)
…真理を発見することで苦しみは滅するという真実

道諦(どうたい)
…真理を発見し、苦しみを滅するための道があるという真実。八正道のこと。

これら事実を頭で理解するのではなく、しっかり腹落ちしているかがポイント

しかし、私たちは、固定概念やバイアスによって物事を正しく見ることができません。自分の脳内のフィルターによって、現実をあってほしいように見てしまいます。

頭で考える「見解」は間違えであり、すべて正見ではありません。

物事をありのままに物事を観察することで、ようやく得られる見解が正見なのです。

正思惟-正しい思考

正思惟とは、正しい思考のことで、以下の3つの思考のことを指します。

無害の思考
いつでも周りに危害を加えないら意図して他人を攻撃しない思考のことです。

無瞋の思考
強い怒りのない思考のこと。日常生活ではうまく行かないことも多いですが、それに必要以上に憤りを感じないことです。

出離の思考
強い欲のない思考のこと。欲はいつでも常識的な範囲内で、暴走させることなく落ち着かせていることが大切です。

正語-正しい言葉を使う

正語とは、正しい言葉を使うこと。具体的には以下の5つを実践していきます。

・嘘をつかない
嘘をつくと社会的な信用を失うというのが一般的な考えかもしれません。しかし、嘘はそれ以上に、自分の至らなさや罪を正当化できてしまうという点があります。

自分の至らなさを誤魔化さずに認めることができれば、成長に繋がりますが、正当化する場合は一向に進歩がありません。

自分の負の側面を認めないことで、永続的に自分も他人も苦しめことになるのです。

・無駄話をしない
無駄話は世間一般では、広く行われていることですが、心にはかなりの悪影響を及ぼします。

ここでいう無駄話の定義は、「中身のない話」「目的のない雑談」などです。

これらは時間の無駄になるだけではなく、感情を刺激し、思考妄想の世界に飲まれてしまいます。その結果、理性を育てる妨げになり、現実をあるがままに見えなくしてしまうのです。

・人を傷つける言葉を使わない
これはわかりやすいと思いますが、他人を害する言葉を使うと周りから人が離れていきます。また、他人を見下したり、軽視したり、差別したりすることが増えていくでしょう。

優劣の判断することは、マインドフルネスや仏道の妨げになってしまいます。

・人の関係を割く話をしない
慈しみや調和を大切にするのが仏教の教えであり、行為は悪行為となってしまいます。

例えば、陰口を行ったり、二枚舌を使ったりすると悪く言われた人は信用を落とすことになります。

一方で、人の悪い面ばかり語ったり、八方美人な振る舞いをしたりしていると、自分自身も本当の意味で人から信頼されることはありません。

正業-正しい行い

正業とは、身体で行う「正しい行い」のこと。業とは、「カルマ」のことで、行為のことを指します。人はどうしても自分した行いの影響を受けてしまいます。

例えば、甘いものを食べたら血糖値が上がって眠くなります。運動したら新鮮な酸素が脳に行きわたりスッキリします。

このように行為によって、良い結果になったり悪い結果になったりするのが自然法則。行為のなかで仏教では、正しい行為が教えられています。それが以下の4つです。

生き物を殺さない
生き物を殺すことは、自我で現実を強引に変えることマインドフルネスが弱まってしまいます。

また命の生きる権利を奪っているので、共感力や思いやりが消え、慈悲やコンパッションも育ちません。

盗みをしない
盗みは私利私欲のために行うことであり、自我を拡張させることに他なりません。

本来手にしていないものを強引に手に入れても、自分の心が堕落するだけです。

不倫しない
不倫も社会の義務を犯す行為なため、世間からの信用を失って生きづらくなります。

酒を飲まない
またアルコールは理性を弱めてしまうため、物事を客観的にあるがままに観ることを妨げてしまいます。

正命-正しい仕事

正命とは「正しい仕事」のこと。具体的には、以下の仕事をしないことが挙げられます。

・武器の製造や販売
・酒や麻薬の販売
・動物の売買
・殺生に関わる仕事
・詐欺、嘘をつく仕事

など他人に危害を与える職業を通じて生計を立てることを慎むを意味します。

正精進-正しい努力

正精進とは、正しい努力のことです。具体的には、

今やってない不善が生じないように
今やっている不善をなくすように
今やっていない善が生じるように
今やっている善を拡大させるように

努力することを指します。基本的には、良いこと増やし、悪いことを減らしていこうという考えです。ここでいう善悪の基準は以下の記事を参考にしてみてください。

優柔不断を克服するマインドフルネス・仏教的な判断基準

正念-正しい気づき

正念とは「マインドフルネス」のこと。

具体的には、以下のものに気づきを向けることが説かれています。

身…身体のこと
受…感受作用のこと
心…こころのこと
法…諸法無我のこと

これら四念処と呼ばれ、お釈迦様の時代から悟りを開くための方法として重要視されてきました。

正定-正しい集中

正定とは、正しい集中のこと。

「正定」は、八正道の一つで、マインドフルネスと密接に関係しています。

マインドフルネスには主に以下の2つの瞑想方があります。

集中瞑想
観察瞑想

このうち集中瞑想で、心沈める力を育て、観察瞑想でありのままの現実を洞察します。

また、日常生活で行う活動も集中して行うこと正定です。

八正道は3つのカテゴリーに分類できる

八正道は三学と呼ばれる「戒」「定」「慧」の3つに分類されています。

戒…戒律のこと
定…集中力のこと
慧…智慧のこと

八正道はそれぞれ以下のパートに分けられています。

・正語-正しい言葉を使う
・正業-正しい行い
・正命-正しい仕事

・正念-正しい気づき
・正定-正しい集中

・正見-正しい見解
・正思惟-正しい思考

つまり苦しみを乗り越える上では「戒」「定」「慧」の3つが重要であり、これらを実践することで真理を発見できるというわけです。

1つ行えば、他もついてくる

八正道はすべて繋がっており、1つ行えば他の7つも自然と実践できるようになっていきます。

例えば正しい言葉を使おうと思ったら、必ず気づきを実践しなくてはなりません。また正命を実践しようと思ったら、正思惟や正語の実践が必要

さらに正念や正定を実践すると、煩悩が減るため、正命や正語も自然できるようになるでしょう。

そのため、自分が実践しやすいところから始めてみると良いでしょう。

まとめ

マインドフルネスは八正道の「正念」であり、身受心法の4つを観察することです。

また、ほかの八正道を実践することでも、マインドフルネスに良い影響を与えてくれます。

全て実践するのは難しいと思うのです、まずはできるところから意識してみると良いでしょう。

私も日々実践に励んではいますが、まだまだ欲に溺れ、気づきを保てない部分も多く、道半ばです。今後、少しでも八正道を歩めるように精進していきたいと思います。

関連記事:慈悲の瞑想のやり方・効果-マインドフルネスとの関係性

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マインドフルネス実践者/Webライター(公認心理師運営サイトのライター)

幼稚園から小学校4年まで学校では一言も話せない状態を経験。その後15年間、対人不安、強迫観念などの症状に悩まされる。マインドフルネスと出会い、これらの症状とうまく付き合えるように。現在では、マインドフルネスの発信をしつつ、原始仏教の実践にも取り組んでいる。※仏教は超初心者です
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