マインドフルネスはうつ病にどれだけ効果?研究結果をもとに解説

うつ

近年、うつ病患者数は増加傾向にあり、多くの人が苦しんでいます。薬物療法やカウンセリングなど、さまざまな治療法がありますが、効果を感じられない人も少なくありません。

そんな中、注目を集めているのが「マインドフルネス」です。マインドフルネスとは、「今、この瞬間」に意識を集中し、自分の思考や感情を客観的に観察する心の状態を指します。

本記事では、マインドフルネスがうつ病に与える効果、その理由、具体的な実践方法、そしてうつ病の方が行う際の注意点について解説します。

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うつ病の方がマインドフルネス行うには注意が必要!必ず最後までご一読ください。

マインドフルネスがうつ病に与える効果

それでは、さっそくマインドフルネスがうつ病に与える効果を見ていましょう。

反すうや心配を減らし、ポジティブになる

Parmentier et al., (2019) [1]の研究では、1151名の成人対象に調査を行い、マインドフルネスがうつ病と不安の症状を直接的・間接的に軽減することがわかりました。

マインドフルネスが高い人は、以下の傾向が見られました。

・感情の抑制が少ない
・反すう思考が少ない
(ネガティブなこと何度も考える思考)
・心配が少ない
・認知的再評価が高い
(ネガティブなことをポジティブに捉え直すこと)

反すうや心配が少なく、ポジティブに考えられるようになり、そのことがうつ病を和らげることに繋がるのです。

困難な状況も乗り越えられるようになる

Zhang et al.,(2024) の研究 [2]では、936名の大学生を対象に調査を行いました。

その結果、マインドフルネスが大学生のうつ病症状を軽減し、その効果は心理的レジリエンスによってもたらされることがわかりました。

心理的レジリエンスとは、以下のような意味があります。

困難な状況にも適応し、乗り越える力のことです。

マインドフルネスによって困難な状況に対処できるようになり、その結果としてうつ病の軽減にも効果が得られるのです。

マインドフルネスは、今の体験を評価判断しないことを重視します。たとえそれが不快なものであっても、あるがままに受け入れ眺めていきます。

こうした練習をすることで、辛い経験への耐性が身についていくのかもしれません。

自己受容が深まる

さらに、Takahashi et al., (2019)[3] の研究では、8週間のマインドフルネストレーニングプログラムが、うつ病と不安を抱える16名に効果があることがわかりました。

研究者によれば、マインドフルネスと自己受容が、プログラムの効果の重要な要因であるとのこと

自己受容とは、

自分自身の良いところも悪いところも含めて、ありのままを受け入れる

ことです。

マインドフルネスによって、自分自身の思考や感情を客観的に観察できるようになり、自己否定することなく、ありのままの自分を受け入れられるようになるため、自己受容が高まると考えられます。

これらの研究結果から、マインドフルネスは、うつ病の症状を軽減する効果が期待できると考えられます。

再発防止にも効果的

Oxford Mindfulness Foundationの記事[4]によれば、再発性うつ病患者を対象にマインドフルネスに基づいた認知療法(MBCT)を行ったところ、再発率が50%減少したとのこと。

これは、マインドフルネスがうつ病の再発防止にも効果的であると言えるでしょう。

MBCTは、認知療法とマインドフルネスを組み合わせた治療法です。認知療法では、つ病の原因となる考え方のパターンを修正することを目的としています。

MBCTによって、うつ病の原因となる考え方のパターンに気付き、修正できるようになります。また、マインドフルネスによって、ストレスへの対処能力や自己受容が高まるため、再発を防ぐ効果があるとされています。

瞑想

マインドフルネスがうつ病に効果的な理由

なぜマインドフルネスがうつ病に効果的なのでしょうか?

反すう思考の抑制

うつ病患者は、過去の失敗や未来への不安など、ネガティブな思考に囚われやすい傾向があります。

マインドフルネスは、このような思考を客観的に観察することで、繰り返し悩んでしまう負のループから抜けることが可能です。

具体的には、マインドフルネスを行うことで、以下のような効果が期待できます。

思考や感情を客観的に観察できるようになる
ネガティブな思考に囚われにくくなる
思考と現実の違いを理解できるようになる

ネガティブな思考は、必ずしも現実とは一致しません。マインドフルネスによって、思考と現実の違いを理解することで、過度に心配したり、不安になったりすることを防ぐことができます。

自己受容の促進

マインドフルネスを通して、自分の思考や感情を客観的に観察することで、自分自身を否定することなく、ありのままを受け入れることができるようになります。

自己受容は、うつ病の治療において重要な役割を果たします。

自己受容が高まると、以下のような効果が期待できます。

自己肯定感が高まる
自己否定が減る
自分自身への優しさが増す

自己否定は、うつ病の症状を悪化させる要因の一つです。マインドフルネスによって、自己否定の思考パターンに気付き、修正することで、自己否定を減らすことが可能です。

集中力の向上

マインドフルネスは、集中力を高め、今この瞬間に意識を向けることで、悩みや不安にとらわれる時間を減らすことができます。

集中力が高まると、以下のような効果が期待できます。

雑念が減る
今この瞬間に集中できる
幸福感や喜びが高まる

ネガティブな思考や不安など、雑念が減ることで、頭の中がクリアになり、目の前のことに集中できるようになります。

また集中力は喜びとの関わりがあることが分かっています。何かに没頭し、自分や時間も忘れている瞬間は心が開放され、充実感が現れてくるのです。

ストレスへの対処

マインドフルネスは、ストレスに対する反応を変えることで、ストレスを軽減する効果があります。

具体的には、マインドフルネスを行うことで、以下のような効果が期待できます。

ストレスへの反応を客観的に観察できるようになる
ストレスに過剰に反応しにくくなる
ストレスへの対処方法を学べる

マインドフルネスを実践することで、ストレスへの反応を客観的に観察し、適切に対応することが可能です。

マインドフルネスの4つの実践方法

マインドフルネスは、うつ病の症状改善や再発防止、ストレス軽減など、さまざまな効果が期待できる心のトレーニング方法です。

ここでは、日常生活の中で簡単に実践できる4つの方法をご紹介します。

呼吸瞑想

ゆっくりと深く呼吸に意識を向けることで、心を落ち着かせ、今この瞬間に集中することができます。

具体的な方法
  1. 静かな場所で座り、背筋を伸ばします。
  2. 目を閉じ、自然と繰り返される呼吸に注意を向けます。
  3. 自然と繰り返されるお腹の膨らみ縮みに注意を向けます
  4. 呼吸に集中し、雑念が浮かんだら、「あ、思考が湧いた」と気づき、再び呼吸に意識を戻します。
  5. 5~10分間程度続けます。

関連記事:
マインドフルネスの呼吸瞑想のやり方と効果【初心者でも簡単】

3分間呼吸空間法

3分間呼吸空間法は、3ステップで手軽に実践できる呼吸瞑想です。

具体的な方法

下記のステップを1分ずつ行っていきます。

・ステップ①今の体験に気づく
今起きている体の感覚、思考、気分などに意識を向け、「今〇〇と感じているな」と眺めていきます。

・ステップ②呼吸に注意を向ける
呼吸の動きを感じやすい場所を選び、その感覚に意識を集中します。例えば、お腹の膨らみ・へこみ、呼吸が変わる瞬間などに意識を向けます。途中で別の考えが浮かんだら、「あ、思考が湧いた」と気づき、再び呼吸に意識を戻します。

・ステップ③今感じているもの全てを観察する
思考、感情、体の感覚、呼吸など、今感じているもの全てをオープンに感じ、受け入れていきます。
体験が変化していることにも目を向けます。

関連記事:
3分間呼吸空間法とは?手軽に続けられる瞑想法

マインドフルネスウォーキング

歩きながら、周囲の景色や自分の体の動きに意識を向けるマインドフルネスウォーキングは、日常生活の中で簡単に実践できます。

具体的な方法

1.ゆっくりと歩きながら、周囲の景色や音、自分の体の動きなどに意識を向けます。
2.一歩一歩、足の裏の感覚や地面の感触に意識を集中します。
3.呼吸に意識を向け、雑念が浮かんだら、「あ、思考が湧いた」と気づき、再び周囲や体に意識を戻します。

10~20分程度続けます。

関連記事:
歩行瞑想(歩く瞑想)のやり方!歩くことで意識を変える瞑想法

 

歩く

グラウンディング

グラウンディングは、今ここに意識を向けることで、不安や混乱を落ち着かせる方法です。

具体的な方法

具体的な方法

・54321法
目に見えるもの5つ、肌で感じられるもの4つ、耳で聞こえるもの3つ、匂いを感じるもの2つ、味わえるもの1つに意識を向けます。五感を通じて、今ここに意識を集中します。

関連記事:
マインドフルネスの「グラウンディング」とは?意味や効果・やり方を解説

うつ病の方がマインドフルネスを行う際の注意点

近年、うつ病の治療法として注目を集めているマインドフルネス。しかし、うつ病の方がマインドフルネスを行う際には、いくつかの注意点があります。

医師に相談する

うつ病の方がマインドフルネスを行う場合は、必ず医師に相談してから行うようにしてください。

マインドフルネスは、うつ病の症状を改善する効果が期待できますが、症状によっては悪化する可能性もあります。

医師に相談することで、ご自身の状態に合ったマインドフルネスの方法や注意点を把握できます。

安心できる環境を用意する

マインドフルネスを行う際には、周囲の音や光など、外部からの刺激が少ない静かな場所でリラックスできる服装で行うようにしましょう。

また、不安や恐怖を感じたら、すぐに中断できる環境を整えておくことも重です。さらにグラウンディングなど心を落ち着かせる技術を習得してから瞑想を行うようにしましょう。

無理をしない

マインドフルネスは、短時間から始めることが大切です。最初は5分程度から始め、徐々に時間を延ばしていくようにしましょう。

無理をして長時間の瞑想を行うと、集中力が途切れたり、ネガティブな思考が強まったりする可能性があります。

ネガティブな感情を否定しない

マインドフルネスを行う中で、ネガティブな感情が湧き上がってくることがあります。そのような感情は、否定せず、客観的に観察するようにしましょう。

「今、自分は悲しいと感じている」
「今、自分は不安を感じている」

と、自分の感情を言葉でラベル付けするのも効果的です。

継続する

マインドフルネスは、継続することで効果を実感できます。

毎日少しずつでも続けることが重要です。習慣化するために、朝起きたらまず5分間瞑想を行う、など自分なりのルールを決めておくのも良いでしょう。

まとめ

マインドフルネスは、うつ病に対する新たなアプローチとして注目されています。研究から、マインドフルネスがうつ病の症状を軽減し、再発を防止する効果が期待できることが分かっています。

特に、マインドフルネスによって反すう思考やネガティブな感情を抑制し、自己受容を促進することで、うつ病の症状が改善されるとされています。

うつ病の方がマインドフルネスを行う際には、医師と相談したり、安心できる環境を整えたりすることが重要です。継続的な実践を通じて、効果を実感しましょう。

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マインドフルネスで脳は変化する?科学的根拠をもとに解説

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マインドフルネス実践者/Webライター(公認心理師運営サイトのライター)

幼稚園から小学校4年まで学校では一言も話せない状態を経験。その後15年間、対人不安、強迫観念などの症状に悩まされる。マインドフルネスと出会い、これらの症状とうまく付き合えるように。現在では、マインドフルネスの発信をしつつ、原始仏教の実践にも取り組んでいる。※仏教は超初心者です
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