メンタルが良くするのに、かなり効果的なのが「自然」です。
自然に触れるだけでストレスが下がり、健康になり、メンタルまで改善するなどメリットがとても多いです。そのため、
「不安を解消したい」
「健康になりたい」
という人は自然に触れる機会を増やすことを強くオススメします。この記事では「自然のメリット」についてまとめて解説していきます。
Contents
バイオフィリア:人は元来自然を愛す
自覚はない人が多いと思いますが、人間にはもともと自然を愛する性質が備わっているとされています。
自然のある空間で過ごすことによって、健康になったり、人間のパフォーマンスが最大限に引き出せたりするんですね。
観葉植物で生産性が15%UP
例えば、エクセター大学のナイト博士らの10年間にわたる研究[1]よると、オフィスの何個か「観葉植物」おくだけで生産性が15%も上がることがわかっています。
実験では、コールセンターの比較的大きなオフィス活用し、1平方メートルごとに観葉植物をセッティング。全員の机から植物が見えるように配置して、18ヶ月間その経過を見たわけです。
その結果、仕事の効率、記憶力の向上、基礎的はスキルの向上が確認されました。
ナイト博士によれば、
心理的な刺激を与える何かがオフィスにあることによって、従業員の幸福度を高めてくれる
といいます。これが生産性を上げることに一役買ってくれているのです。
自然によって脳が最適化されて仕事の進みが早くなったり、幸福度を高めてくれるのです。こうした人が持つ自然を愛する性質を「バイオフィリア仮説」と言います。
健康には最強レベルで効く
では、健康にはどれだけ良い影響があるを具体的に解説していきます。
イーストアングリア大学の研究[2]で、103件のRCTと40件の観察研究をまとめたメタ分析を行いました。内容としては以下のようなパターンで健康状態を比べたのです。
- 都市部と緑地帯に住んでいる人
- 都市部で過ごすと森林浴する
- 手術後に森を見た場合と壁を見た場合
など、幅広い角度から自然の効果を確かめたんですね。その結果、最強レベルで健康への効果が高いことがわかりました。具体的には、以下のような効果が挙げられます。
下がるもの:
- 血圧
- 心拍数
- ストレスホルモン
- 糖尿病のリスク
- 心疾患のリスク
- 早産のリスク
- 総死亡率
- コレステロール値
(一部がんの経過、アルツハイマー病の症状)
上がるもの:
- 主観的健康レベル
- 睡眠の質
このように、万能薬のような働きをしてくれます。なんにでも効くという感じ。
なぜここまで、自然が健康にメリットをもたらすかというと原因がありずきて、特定が難しいのですが、これらが当てはまると考えられています。
1.人とのコミュニケーションが増える
都市部よりも田舎に住んでいる人の方がご近所づき合いも多い傾向にあります。
2.日光を浴びられる
日の光に当たってないとビタミンDが不足したり、セロトニンが減るためメンタルや筋肉や骨が弱くなっていきます。
3.活動量が増える
ウォーキングが健康にいいのは、もはや言うまでもありません。自然が多いと適度な運動をする機会も増えます。
4.公害の影響が減る
都市部で生活するほど、大気汚染物質を吸ってしまう恐れがあります。他にも騒音などストレスが増える要素がたくさんあります。
5.「フィトンチッド」吸い込むことができる
フィトンチッドとは樹木から出る香り成分のこと。これを吸うことによって、リラックス効果が得られたり、免疫力が上がったりします。
6.バクテリアを吸い込むことができる
腸内細菌はバラエティ豊かな方が健康にいいと言われているので、森で微生物を吸い込むことで、腸からより多くの健康効果を得ることができます。
これだけ多くの原因が挙げられます。なので、森林浴がなぜ健康に良いのか原因を絞り込むのは難しいです。ただ、言い換えれば、一石十鳥というわけです。
至高体験:人生の悩みまで解決される
自然の効果はそれだけではありません。さらに「人生の悩み」まで解決してしまうことが分かっているんです。
ハイファ大学の研究[3]では、自然によって自分の性格や価値観が大きく変わった経験がある人を募集してその原因を調べました。
15名分の経験が集まり、アメリカやイスラエル、アルゼンチンなど幅広い国籍の人がコミットしてくれました。その経験を集計し、自然によって人生の問題を解決される4つの条件を見出したのです。
1.人生の悩みと目の前にある自然を関連させる
2.人生の悩みを認めることに痛みを感じる
3.自然によって悩みの捉え方に変化が起きる
4.新しい捉え方をその後の生活で活用できる
こうした体験を「至高体験(ピークエクスペリエンス)」といって、自然と一体になって「無我」になる状態です。具体的には、
・星空を眺めていたら急に自分の悩みがちっぽけに感じて、どうでもよくなってきた
・広大な草原を歩いていたら、地球はこんなにも寛大なのにどうして私の心はこんな狭いんだと感じて、柔軟な考え方ができるようになった
・山頂から日の出を拝んでいたら、どこからともなく感謝や命のありがたみが込み上げてきた
このような、自然による考え方の変化、物事の新たな側面への気づきなどはすべて「至高体験」に当たります。もしかすると、経験がある方も多いかもしれません。
これは自然のある場所で、↑の4つの条件を満たしていれば起こる可能性は十分にあるので、近所の公園とか川などに触れるタイミングを増やすだけでも良いでしょう。
私は川を散歩していた時に朝日が葉っぱの当たるの見て、なぜか幸福感を覚えた経験があります。このように至高体験は自分が自然の一部だと感じさせてくれます。
どれくらいの頻度で自然に触れ合えばいいか
米バージニア大学のティム・ビートルズ博士が自然どれくらい触れていればいいの?という基準を示してくれています。
下の図は「ネイチャーピラミッド」というものです。
出典:https://www.thenatureofcities.com/2012/08/07/exploring-the-nature-pyramid/
上から、
「毎日触れるべきもの」
「毎週触れるべきもの」
「毎月やっておきたいこと」
「毎年はやりたいこと」
に分けられています。では、それぞれどこまで自然に触れたほうがいいのか具体的に解説していきます。
1.毎日触れるべきもの
- 観葉植物や街の木々を見る
- 公園で休憩する
- 鳥のさえずりを聞く
- オフィスや家の窓から自然を見る
といったすこしでも自然に触れておけば良い感じです。
2.毎週触れるべきもの
大型の公園に行く、緑に囲まれた地域に足を運ぶといったできるだけ緑の多いところに出かけること。
3.毎月やりたいこと
森や川などさらに自然に囲まれたところでキャンプする。自然体験の強度と持続時間が向上すると考えられています。
4.毎年はやりたいこと
海外旅行などで遠く離れた自然の多いところで何日か過ごすこと。山に登ったり、川下りなどエキゾチックで未知な体験をすると良いそうです。
以上が自然に触れる目安になります。毎日の段階にあるものは、今日からでも始められそうですね。
冒頭でご紹介した、ナイト博士の研究でも緑の写真を見るだけで効果があるということがわかっているので、まずはスマホやpcの壁紙を自然に変えることから始めるのが良いでしょう。
そこから、公園やキャンプに行く頻度を増やして、最終的には年1で海外旅行に行けるのが最高ですね。
メンタル安定効果をさらに高めるには
ここからは自然の中で行うと、さらにメンタル効果が高まるアクティビティをご紹介します。
マインドフルネス瞑想する
マインドフルネス瞑想とは、簡単に言えば「今この瞬間の体験に注意を向け続ける瞑想」です。最も簡単なやり方としては、自分の自然な呼吸に注意を向ける方法です。
雑念が浮かんだらそれに気づいて、また注意を自然な呼吸の方に戻していきます。
これを制限時間まで繰り返します。自然の中で瞑想を行うと、注意力が高まり、幸福感という研究もあるため、とてもおすすめです。
関連記事:
【マインドフルネス】瞑想法の種類を一覧で解説!使い分けを学ぼう
グリーンエクササイズ
リーン・エクササイズは、自然の中で運動することで、運動効果と自然の中でのリラックス効果が相乗し、メンタルヘルスに良い影響をもたらすとされています。具体的な活動としては、
- ウォーキング
- サイクリング
- 農作業
などが挙げられています。
英国エセックス大学の研究によれば、1252人を対象に様々な場所や運動を調査し、特に湖や川のような水がある自然でのエクササイズが効果的であることが示されました。
この研究により明らかになったのは、5分など短い時間でも、かなりの程度でメンタルヘルスを向上させることができるという点です。
そして、川や湖など水がある環境での運動がより大きな効果をもたらすことが示唆されています。
もちろん歩行瞑想で行うと、さらにメンタル安定効果が高まるでしょう。
関連記事:
歩行瞑想のやり方
まとめ
このように、自然には想像以上にメリットがあります。心理的にも肉体的にも健康な体へと導いてくれるので、最近自然に触れられていないなと感じる人は、とりあえず近所の公園でも散歩してみるとその恩恵が得られるでしょう。
参考文献▼
- The health benefits of the great outdoors: A systematic review and meta-analysis of greenspace exposure and health outcomes
- The relative benefits of green versus lean office space: Three field experiments.
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