楽しむことに罪悪感を覚える原因「幸せ恐怖症」の正体とは?

罪悪感

楽しい旅行の後、友人と楽しい時間を過ごした後、なぜか罪悪感や不安に襲われることはありませんか? 実は、これ「幸せ恐怖症」と呼ばれる心の状態かもしれません。

幸せを遠ざけてしまうこの心のメカニズムと、今の感情を受け入れるマインドフルネスやセルフコンパッションによる克服法について、本記事では詳しく解説していきます。

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真面目過ぎると、自分を犠牲にしがち…

楽しむことへの罪悪感は「幸せ恐怖症」が原因

幸せ恐怖症とは、幸せな状況や感情を避けようとする心理状態です。 楽しいはずの出来事に罪悪感や不安を感じ、自ら幸福を遠ざけてしまうのです。

具体的には、以下のような症状が現れます。

  • 成功を収めた際に罪悪感を覚える
  • 幸せな恋愛関係を築くことに抵抗を感じる
  • 楽しい時間のあとに不安に襲われる
  • 周囲より幸せなことに対して罪悪感や申し訳なさを感じる

幸せ恐怖症は、本人の意思とは関係なく、無意識に幸せを避けてしまうため、気づきにくいのが特徴です。

そのため、長年悩んでいるにもかかわらず、適切な対処法を取れずに苦しんでいる人が少なくありません。

幸せ恐怖症の原因

モーセン・ジョシャンルーとダン・ウェイジャース[1]は、幸福を嫌う4つの理由を特定しています。

  • 幸せになると悪いことが起こるという考え
  • 幸せになると自分が悪い人になるという考え
  • 幸せを表現することは自分や他人に悪いことという考え
  • 幸せを追い求めることは自分や他人に悪いことという考え
    (一部改変)

概ね幸せになることへの否定的な考えが幸せ恐怖症の原因だと考えられます。幸福への恐怖は、様々な要因によって生まれる複雑な感情です。

それではなぜ、幸福になることに罪悪感を覚えてしまうのでしょうか。その要因は様々なものがあります。

・幸福は不安定なものだと考える
幸福は不安定で脆弱な存在であると信じている人は、幸せが長く続かないことを恐れてしまいます。とくに幼少期に不幸な経験をした人は、幸せになることを無意識に拒否してしまうことがあります。

・完璧主義
完璧主義者は、常に高い目標を設定し、それを達成できない自分を責めてしまいます。そのため、幸せになることを許せないという気持ちになるのです。

・孤独な人
孤独な人は、自分には幸せになる資格がないと感じています。周囲の人々と比べて、自分が取り残されていると感じてしまうのです。

・回避型・不安型の愛着スタイルを持つ
心理学では、幼い頃の母子関係によって形成された愛着のタイプを「愛着スタイル」といいます。大人の愛着スタイルは4つあり、その中で回避型、不安型の愛着スタイルを持つ人は、他人との親密な関係を築くことを恐れる傾向があります。幸せになるためには、他人との繋がりが必要だと感じながらも、それができずに苦しんでしまうのです。

繊細な女性

・超常現象を信じる
超常現象への信仰を持つ人は、幸せが自分の人生に悪影響を与えることを恐れています。例えば、幸せになると不幸な出来事が起こると信じている人もいるのです。また「運を使い切ってしまった…」などと考える人も要注意です。

・自己犠牲
他人に貢献しようとするあまり、自己犠牲になってしまう場合もあります。その結果、自分個人が幸せになることを罪悪感を感じるのです。

ザっと見ると、真面目・不安・非合理な考えが罪悪感の原因といえるでしょう。

楽しいことのあとの罪悪感の対処法

それでは、幸せ恐怖症の原因である楽しいことのあとの罪悪感は、どのように克服すればよいでしょうか。おすすめの克服法が「マインドフルネス」と「セルフコンパッション」です。

マインドフルネス

マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を集中し、自分の思考や感情を客観的に観察する訓練です。

幸せ恐怖症の場合、幸せを感じた時に不安や恐怖を感じ、その感情を避けてしまう傾向があります。

マインドフルネスを実践することで、これらの感情を客観的に観察し、コントロールできるようになるのです。

具体的な方法としては以下の通りです。

・呼吸に意識を集中する
呼吸に意識を集中することで、心が落ち着き、今この瞬間に意識を向けることができます。呼吸をコントロールしようとせず、ただ勝手に繰り返されすことでで、自然と心が穏やかになり、幸せを感じやすくなるでしょう。

・思考や感情をラベル化する
幸せを感じた時に、「幸せだ」「嬉しい」「楽しい」など、頭の中でラベル化することで、その感情を客観的に観察できます。自分の感情を言葉にすることで、その感情を理解しやすくなり、コントロールしやすくなります。

・批判せず、ジャッジせず
自分の思考や感情を批判したり、ジャッジしたりせずに、ただ観察することが重要です。「幸せを感じてはいけない」というような否定的な思考は、幸せ恐怖症を悪化させてしまう可能性があります。自分の思考や感情をありのままに受け入れることで、幸せを感じられるようになるでしょう。

瞑想する女性

マインドフルネスの実践例

・瞑想
毎日10分間、静かな場所で座禅を組んで瞑想を行う。呼吸に意識を集中し、思考や感情をただ観察する。

・マインドフルネスウォーキング
ゆっくりと歩きながら、周囲の景色や音、自分の体の感覚などに意識を向ける。

・マインドフルネス食事
食べることに集中し、一口一口の味や食感を観察する。

マインドフルネスは、毎日少しずつでも続けることが重要です。最初は難しいと感じるかもしれませんが、続けることで徐々に効果を実感できるでしょう。

幸せ恐怖症の克服には時間がかかるかもしれませんが、マインドフルネスを実践することで、幸せを感じられるようになるのです。

関連記事:
【マインドフルネス】瞑想法の種類を一覧で解説!使い分けを学ぼう

セルフコンパッション:自分自身への優しさ

セルフコンパッションとは、自分自身に対して優しさと思いやりを持ち、自分を許すことです。

幸せ恐怖症の場合、自分自身に対して厳しく、幸せになることを許せないという気持ちを持っていることがあります。

セルフコンパッションを実践することで、自分自身を認め、許し、幸せになることを許可できるようになるのです。

具体的な方法としては以下の通りです。

・自分自身に優しい言葉をかける
幸せを感じた時に、「よく頑張ったね」「幸せになっていいんだよ」など、自分自身に優しい言葉をかけます。自分自身を否定せずに、肯定的な言葉をかけることで、自信が生まれ、幸せを感じやすくなるでしょう。

・自分自身を許す
過去に幸せを避けてしまった自分を許し、これから幸せになることを決意します。過去の失敗にとらわれず、自分自身を許すことで、前向きに進むことができるようになります。

・自分自身を他人と比較しない
自分自身を他人と比較せず、自分自身のペースで幸せになることを目指します。他人と比べて落ち込むのではなく、自分自身の成長に目を向けることで、幸せを感じられるようになるでしょう。

セルフコンパッションの実践例

自分自身への肯定的な言葉リストを作る
⇒自分の良いところを書き出し、毎日眺める。

自分自身を励ます
⇒落ち込んだ時に、「大丈夫だよ」「誰でも失敗するよ」など、自分自身を励ます言葉をかける。

自分自身へのご褒美
⇒何か目標を達成したら、自分自身にご褒美を与える。

セルフコンパッションは、自分自身に対して愛情を持つことです。自分自身を愛することで、幸せを感じやすくなるのです。幸せ恐怖症の克服には、自分自身を大切にすることが重要です。

マインドフルネスとセルフコンパッションを組み合わせることで、より効果的に幸せ恐怖症を克服することができます。

マインドフルネスで自分の感情を客観的に観察し、セルフコンパッションで自分自身を許し、愛することで、幸せを感じられるようになるのです。

関連記事:
セルフコンパッションのデメリットとは?誤解しがちなポイントと注意点を解説

まとめ

幸せ恐怖症は、無意識に幸せを避けようとする心理状態です。 成功や恋愛、楽しい時間さえも罪悪感や不安で台無しにしてしまうこの心の壁を壊し、本来の幸せを手にするために、今すぐ行動を始めましょう。

本記事で紹介するマインドフルネスとセルフコンパッションを実践することで、幸せを感じる心のブロックを外し、自分自身を許し、受け入れることができます。

幸せ恐怖症に悩むあなたにとって、この情報が希望の光となることを願っています。

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