コミュニケーション能力を高める上で、瞑想の考え方はとても重要です。
一見、結びつかない2つのジャンルですが、コミニュケーションでミスをする要因はすべて、雑念であることが多いです。無駄な考えに気をとられることで、自分の話に集中できなくなり、しどろもどろになってしまうのです。
今回は、瞑想歴7年、心理学ライターで対人不安を克服した私が、瞑想とコミュ障の関係を解説していきます。
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雑念で会話は失敗する
おそらく、多くの人は会話中にしどろもどろになった経験が1回はあるかと思います。その時を振り返ってみてください。なぜ、次の言葉が浮かばなくなるのか。
それは、
- ミスってしまうかもしれない
- なんて話せばいいんだ
- 嫌われるかもしれない
といった雑念が邪魔をしていることがほとんどです。
他には、「今の言い方はまずかったなぁ、嫌われたかも」と自分の発言を振り返って、相手の思考を先読みしてしまうなどが挙げられます。
コミュ障のすべての原因は集中できていないから
つまり、コミュニケーションの苦手さの原因は、基本的には集中力の不足にあると言えます。
会話中に「これはまずかったかもしれない」「相手に嫌われるかもしれない」といった心配事に意識が向いてしまうと、
- 相手の話が入ってこない
- 次に何を話せばいいか分からなくなる
といった状態に陥ってしまいます。
言い換えれば、会話に集中すれば、雑談や他の気になることに振り回されずに済み、会話が上手くいきやすくなるわけです。
瞑想でコミュ力が上がる理由
会話中にも瞑想はできる
そこで活用できるのが「瞑想」の考え方です。瞑想の中でも、「マインドフルネス」という実践は、
- 今、ここの経験を受け入れて集中する
ということを大切にしていきます。つまり、マインドフルネスは必ずしも座って目を瞑る必要はなく、会話中にも実践することができます。
会話の最中に、自分や相手を評価判断してしまうと、一気に雑念や生まれてしまいます。「言わなくていいこといっちゃった…」「なんであの人はあんなことをいうんだ!」などは、すべて評価判断から生まれてくる雑念です。
いい悪いといった評価や判断を手放して、オープンに、
「ただ相手の話を聞く」
「ただ話す」
ことによって、緊張や不安が和らいでいきます。その結果、会話に集中でき、スムーズにコミュニケーションを取ることができるのです。
このように、ただ聞くことを「マインドフルリスニング」、ただ話すことを「マインドフルトーキング」といいます。もし会話中にも雑念が浮かんだら、そのことに気づき、また聞くことや話すことに意識を戻していきます。
マインドフルネスのコミュニケーション法について知りたい方は下記をご覧ください。
Google式マインドフルネスのコミュニケーション術【コミュ障克服】
怒りが減る
さらに、マインドフルネスで怒りを抑えられることが研究によって分かっています。
金(2015)の研究[1]では、209名の学部生を対象に、「ディタッチドマインドフルネス」が「怒り反すう」に与える影響を調べました。それぞれ言葉の意味は以下の通りです。
・ディタッチドマインドフルネス
自分の状態を一歩引いて眺める状態
・怒り反すう
過去の体験を思い出し、怒っている状態
結果は以下のようになりました。
このように、ディタッチドマインドフルネスの得点が高いほど、怒り反すうが下がることが明らかになりました。
さらに、瞑想することによって脳の前頭葉が鍛えられるので、そういった視点からもコミュ力や社会性が鍛えられると言えましょう。
HSPに与えるのMBSRの効果
Soonsら(2010)[2]の研究では、MBSR(マインドフルネスストレス低減法)の8週間プログラムが、HSPにどのような心理的影響を及ぼすかを調査しました
HSPとは、超敏感な人という意味。この気質が高いと、些細なことに意識が向いて、人間関係や社会の中で生きづらさを感じてしまう傾向があります。
研究では、HSP傾向が高い47名を対象に1回2時間半のセッションを8回行いました。
その結果、8週間のプログラム終了後に以下の効果が得られました。
・ストレスが減る
・対人不安が和らぐ
・マインドフルネスが高まる
・感情的共感が高まる
・自己成長主導性が高まる
・自己受容が高まる
・自己超越が高まる
stress (F = 94.11, p < .001),social anxiety (F = 86.89, p < .001), self-acceptance (F = 33.54, p <. 001), emotional
empathy (F = 21.25, p < .001), personal growth initiative (F = 10.25, p < .01), and selftranscendence (F = 14.04, p < .001).
対人不安が減り、自己受容が高まり、感情的共感も高まっていることが分かります。またプログラム終了の4週間後も効果が持続していることもわかりました。
このように瞑想はコミュ障の改善にも効果があることが期待できそうです。
コミュ障を和らげる「コンパッション(慈悲)」とは?
マインドフルネスは、オープンに今ここに意識を集中させるだけではなく、コンパッション(慈悲)の要素もとても大切になります。
コンパッションとは「思いやり」のことで、自分や他人に対して、常に優しさをもって接していきます。例えば、
- 自分や相手が幸せであってほしいと思う
- 自分や相手の悩みや苦しみがなくなってほしいと思う
などが挙げられます。基本的に相手を批判せず、攻撃的に振る舞われたとしても、
「この人は苦しんでいるな…」
「この人や自分、すべての生き物の苦しみがなくなってほしいな」
と考えるようにします。すると、コミュニケーション場面でも相手の怒りに巻き込まれず、落ち着いて対応することができるのです。
怒りが人間関係を破壊する
なぜコンパッションが重要かというと、「怒り(嫌だと思う気持ち全般)」が人間関係のトラブルを引き起こすからです。
しどろもどろになったらどうしよう…
変なことを言って嫌われないかな…
どうせ自分なんて誰も認めてくれない…
こうした気持ちはすべて怒りに分類されます。裏を返せば、自分も他人も信頼できない状態。ここには必ず、自己批判や他者批判が含まれています。
これは、評価判断をしないというマインドフルネスを培うことで回避できますが、その評価判断をしないためには、コンパッションがとても大切になるのです。どんな生き物であっても苦しんでほしくない、幸福であってほしいと思うようすると相手をオープンに受け入れやすくなります。
その結果、自分も嫌な気持ちを起こすことが少なくなり、不安や緊張などの悩みや苦しみなく、幸福に生きられるようになります。
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まとめ
繰り返しになりますが、コミュニケーションでミスをする原因は「雑念」です。今話してる内容に関係のないことを頭の中に思い浮かべることで、相手の話が聞き取れなかったり、自分が話したいことがわからなくなってしまったりします。
常に、会話をしている自分を観察する意識を持って取り組んでみましょう。
かなりシンプルな方法ですが、しっかり身につけることで、コミュ二ケーションの大半の悩みは無くなることでしょう。