人と会ったあとに落ち込む・自己嫌悪になる理由…反省をやめるには

人と会う

人と会った後に自己嫌悪に陥り、落ち込んでしまう――このような経験、誰しもが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

その原因として、完璧主義や他人との比較、過去のトラウマなどが挙げられます。この記事では、そんな自己嫌悪の理由と、その対処法について詳しく解説していきます。

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一人反省会はメンタルに悪い!

人と会ったあとに落ち込む・自己嫌悪になる理由

まずは人と会ったあとに落ち込む・自己嫌悪になる理由を見ていきましょう。

完璧主義

会話の内容や自分の言動を振り返り、「もっとこうすればよかった」「あの時、ああ言えばよかった」と後悔してしまうことがあります。特に、人見知りや完璧主義的な傾向がある人は、こうした後悔に陥りやすい傾向があります。

例えば、

「もっと面白い話をすればよかった」
「もっと積極的に話しかければよかった」
「もっと聞き上手になればよかった」

など、具体的な後悔が頭に浮かび、自己嫌悪に繋がるケースがあります。

さらに、現代社会では、仕事やプライベートで様々な人と接する機会が多く、その分後悔の種も増えやすくなっています。

他人との比較

会った人の容姿、能力、経歴、幸せそうな様子などを見て、自分と比べて劣等感を抱いてしまうことがあります。

例えば、

「あの人は仕事もプライベートも充実しているのに、自分は…」
「あの人はあんなに可愛いのに、自分は…」
「あの人はあんなに頭がいいのに、自分は…」

など、他人と自分を比較することで、自己肯定感が低下してしまうことがあります。

他人との比較は、自分自身を見失い、ネガティブな思考に陥る原因となるため、注意が必要です。

過去のトラウマ

過去の人間関係で傷ついた経験や、失敗体験などが原因で、人と会った後に無意識に自己防衛的な思考が働いてしまうことがあります。例えば、

「相手に嫌われたくない」
「馬鹿にされたくない」

という恐怖から、過度に緊張したり、自分の言動を制限してしまうことがあります。

過去のトラウマが原因で、人と会うことが怖くなったり、人と接することに抵抗を感じたりすることがあります。

反すう思考(一人反省会)とは

人と会った後に、一人で過去の会話や自分の言動を繰り返し思い出し、後悔したり、自己嫌悪に陥ったりする思考のことを「反すう思考」または「一人反省会」と呼びます。

反すう思考は、誰にでも起こり得ることですが、過度に繰り返されると、以下のような悪影響を及ぼします。

1. 気分の落ち込み

反すう思考によって、過去の失敗や後悔ばかりを思い出してしまうと、気分が落ち込み、憂鬱な気持ちになります。

楽しい時間を過ごしたはずなのに、その後反すう思考に陥ってしまうと、せっかくの楽しい思い出が台無しになってしまうこともあります。

2. 自己肯定感の低下

自分の言動を過度に批判してしまうことで、自己肯定感が低下し、自信がなくなってしまいます。

「自分はダメな人間だ」
「自分は誰からも愛されない」

といったネガティブな思考が強くなり、自己否定的な性格になってしまうこともあります。

3. 不安や緊張

人と会うことが怖くなったり、人と接することに抵抗を感じたりするようになります。

会話や言動を過度に分析してしまうため、人と話す時に緊張したり、不安になったりしてしまうことがあります。

4. 集中力の低下

過去の会話や自分の言動ばかり考えてしまうため、目の前のことに集中できなくなります。また、さらに後悔に時間を費やし、やるべきことに手がつかなくなることも多いです。

仕事や勉強に集中できなくなったり、日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。

5. うつ病などの精神疾患

反すう思考が長期間続くことによって、うつ病などの精神疾患を発症してしまう可能性があります。うつ病になると、気分の落ち込み、無気力、睡眠障害などの症状が現れます。

反すう思考の種類

大井ら(2017)の研究[1]では、反すう思考の内容は、主に以下の7つに分類されます。

1. 嘆き・後悔
嘆き・後悔の思考は、過去の出来事に対するネガティブな感情を伴います。この思考に囚われ続けると、自己肯定感が低下し、うつ病などの精神疾患につながる可能性があります。

2. 解決策
解決策を探る思考は、一見すると前向きな思考のように見えます。しかし、過度に繰り返されると、反すう思考から抜け出せなくなり、不安や緊張を高めてしまう可能性があります。

3. 自己への批判
自己への批判は、自己肯定感を低下させ、自信喪失につながります。自己否定的な思考が強くなると、人間関係や仕事にも悪影響を及ぼします。

4. 原因追究
原因追究は、過去の出来事を理解し、同じ失敗を繰り返さないようにするためには必要な思考です。しかし、過度に原因ばかり考えてしまうと、自己批判につながり、ネガティブな思考に陥ってしまう可能性があります。

5. 漠然とした不安
漠然とした不安は、具体的な根拠のない不安や恐怖を感じます。この不安は、日常生活に支障をきたしたり、集中力を低下させたりする可能性があります。

6. 諦め
諦めの思考は、努力することを放棄してしまう可能性があります。この思考に囚われ続けると、人生の可能性を狭めてしまうことになります。

7. 肯定的な意味づけ
肯定的な意味づけは、反すう思考から抜け出すためには重要な思考です。過去の出来事に対してポジティブな意味を見出すことで、自己肯定感を高め、前向きな気持ちで未来に向かうことができます。

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反すう思考の対処法

反すう思考は、誰にでも起こり得ることですが、過度に繰り返されると、心身に悪影響を及ぼします。

反すう思考の対処法としては、以下のような方法があります。

思考を書き出す

反すう思考が起こった時に、頭の中をぐるぐる回る思考を紙に書き出すことは、客観的に思考を観察し、分析するための有効な方法です。書き出すことで、以下のメリットを得られます。

・思考の整理
頭の中だけで考えていると、思考が混沌として、何が問題なのか、どのように対処すればよいのかが分かりにくくなります。書き出すことで、思考を整理し、問題の本質を把握しやすくなります。

・思考の歪みに気づく
書き出すことで、思考の偏りや歪みに気づくことができます。「自分はダメだ」「何もできない」など、ネガティブな思考パターンを発見し、より現実的で客観的な思考に修正することができます。

・感情の整理
反すう思考は、後悔、不安、怒り、悲しみなどのネガティブな感情を伴います。書き出すことで、感情を整理し、理解しやすくなります。感情を理解することで、適切な対処法を見つけることができます。

自分の思考や感情を書き出す方法をより深く知りたい方は、下記をご覧ください。

マインドフルネスなノートの書き方とは?3つの方法を解説

ジャーナリング(書く瞑想)のやり方と効果を解説

2. 認知行動療法

認知行動療法は、反すう思考を含む様々な心理的な問題に効果的な治療法です。認知行動療法では、以下のような方法で反すう思考に対処します。

思考の歪みの特定

反すう思考の原因となる思考の歪みを特定します。「べき思考」「白黒思考」「過大評価」など、思考の歪みを認識することで、より現実的でポジティブな思考に修正することができます。

思考の書き換え

歪んだ思考パターンを、より現実的で客観的な思考パターンに書き換える練習を行います。

具体的には、「べき思考」を「~したい」という願望に、「白黒思考」を「バランスのとれた思考」に、「過大評価」を「客観的な評価」に書き換えます。

行動の活性化

反すう思考に囚われて、行動が消極的になっている場合は、行動を活性化するトレーニングを行います。楽しい活動や、目標達成に向けた行動など、積極的に行動することで、気分転換になり、反すう思考を減らせます。

3. マインドフルネス

マインドフルネスは、「今この瞬間に意識を集中する」という訓練法です。反すう思考は、過去や未来への不安や後悔など、今以外のことに意識が向いている状態です。

マインドフルネスを実践することで、以下の効果を得られます。

・反すう思考への気づき
反すう思考が起こっていることに気づくことができます。思考に巻き込まれることなく、客観的に観察することができます。

・思考への執着の軽減
思考に執着し、ぐるぐると思い続けることを防ぐことができます。思考をコントロールしようとするのではなく、ただ眺めることで、自然と消えていくのを待つことができます。

マインドフルネスの実践方法

・呼吸に意識を集中する
鼻から息を吸い、口から息を吐き出すことに意識を集中します。雑念が浮かんだら、優しく意識を呼吸に戻します。

・五感に意識を向ける
今、見ているもの、聞いているもの、感じているものなど、五感を通して情報を受け取ること。それは、マインドフルネスの基本的な練習法の一つであり、反すう思考を減らす効果が期待できます。

・歩行瞑想
ゆっくりと歩きながら、足の裏の感覚、地面の感触、風の音、周りの景色など、五感を通して情報を受け取ることだけに意識を集中します。雑念が浮かんだら、意識を足元に優しく戻します。

・食事瞑想
食事をするときは、目の前の食べ物に集中します。食べ物の色、形、香り、味、食感など、五感を使ってじっくりと味わいます。テレビやスマホを見たりせず、食べることに集中することで、反すう思考を防ぎ、食事を一口一口味わうことができるのです。

・感謝の気持ちを持つ
日常生活の中で、些細なことでも感謝の気持ちを持つように心がけましょう。「今、ここに生きていること」「健康であること」「家族や友人がいること」など、当たり前のように享受しているものに感謝することで、心が落ち着き、反すう思考が起こりにくくなります。

関連記事:
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まとめ

自己嫌悪や後悔に囚われる日々から解放されるために、まずは自分の思考や感情を整理しましょう。

思考を書き出すことや認知行動療法、マインドフルネスなどの方法を活用して、ネガティブなサイクルから抜け出しましょう。

過去の失敗や後悔に囚われず、今を大切にしながら、自分自身と向き合い、前向きに行動することが大切です。自己嫌悪から解放され、豊かな人生を歩んでいくために、今日から一歩を踏み出してみましょう。

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ぐるぐる思考・反芻思考を止めるマインドフルネスの4つのステップ

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マインドフルネス実践者/Webライター(公認心理師運営サイトのライター)

幼稚園から小学校4年まで学校では一言も話せない状態を経験。その後15年間、対人不安、強迫観念などの症状に悩まされる。マインドフルネスと出会い、これらの症状とうまく付き合えるように。現在では、マインドフルネスの発信をしつつ、原始仏教の実践にも取り組んでいる。※仏教は超初心者です
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