デフォルトモードネットワーク(dmn)とは?マインドフルネスで脳が休まる理由

休憩しても、

・脳が休まらない
・集中できない
・すぐに疲れる

こんなお悩みを抱えていませんか?

特に現代人は多くの情報にさらされています。

・スマホの通知
・街の広告
・TVのニュース

などなど…。

情報量が多いと、様々なことに注意が分散しやすくなります。あれやこれやと考えを巡らせてしまい、脳のエネルギー消耗してしまうのです。

こうした脳のエネルギー消費を和らげるには、「デフォルトモードネットワーク(DMN)」という脳の働きを理解することが大切です。

今回はDMNの働きを紐解きつつ脳神経科学的な視点から、正しい脳の休め方をご紹介していきます。

デフォルトモードネットワーク(DMN)とは?

デフォルトモードネットワーク(DMN)とは以下のようなものです。

ぼんやりと考え事をしている時に、活性化する脳のネットワーク構造のこと

つまり、ぼっーとしている時や、過去や未来を空想している時にアクティブになる脳のネットワークになります。

例えば、

 

  • 昨日のミスを振り返っている時
  • 明日の試合のことをイメージしている時
  • ぼんやりと歩いている時

 

などに活性化します。ざっくりと言うと、内側に意識を向けている状態のことです。

脳が常にアイドリング状態にあるような感じで、何かあった時にすぐに集中できるように準備している状態とも言えます。

脳の位置としては、以下の図の赤い部分です。

DMN

出典:Wikipedia デフォルトモードネットワーク

DMNのデメリット

DMNがの働きが過剰になると、以下のような悪影響があります。

 

  • 不安障害
  • 注意散漫
  • 抑うつ症状

 

DMNは、うつ病の根本原因である

「反芻思考(はんすうしこう)」

との関係があるという言われており、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼしてしまいます。

反芻思考とは、過去の出来事を何度もくり返し考えてしまう思考のことです。このうち、ネガティブな出来事や思考を何度も振り返ることで、抑うつ症状が強まってしまうのです。

また、現代人は1日の50%はDMNが活発になっていると言われています。DMNが過剰な状態では、

 

  • 60~80%の脳のエネルギーを消費している

 

と言われています。

ぼーっとしている時は脳が休んでいるように感じます。しかし、実際は逆にエネルギーを消耗してしまっているのですね。

DMNは人間に不可欠

ここまでデフォルトモードネットワークのデメリットについて見てきました。

しかし、実はメリットも多くあります。

過去や未来のことを考える力がなければ、私たちはここまで文明を発展させることはできませんでした。物事を計画して、アイデアを発明する力があったからこそ、

 

  • 道具を作る
  • テクノロジーを発明する

 

ことができました。そのため、DMNを一概に悪と決めつけることはできないのです。

DMNのメリット

DMNのメリットをまとめると以下のようになります。

・創造性が高まる
・情報が整理される
・素早い意思決定ができる

ぼーっとしてる時は、脳が様々な情報を整理していると言われています。取り入れた情報が重要なのか、そうでないのかを識別し、重要でないものは忘れます。

またDNMを使うことで、習慣的な判断を素早く行うことができます。例えば、歯磨きをするときにいちいちしっかりと判断したりしませんよね。朝起きたら、

「無意識に洗面所に行って、歯を磨く」

など即座に意思決定をしていることが多いと思います。

このように過去の記憶が体験に基づいて、瞬時に判断を出すことができるのです。

行動経済学とDMN

ノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマンは 、「ファストフロー」 という著書で意思決定には、以下の2つのシステムがあると述べています。

・システム1
早い思考、直感によって意思決定をするシステムです。

・システム2
遅い思考、理性によって意思決定るするシステムです。

システム2の意思決定は集中力を使います。そのため、日常生活の全ての決断を行っていたら、脳のリソースが持ちません。そこでさほど重要ではない決断は、早い思考の「システム1」で行われます。

システム1はDMNの活動によって行われます。そのため、DMNは過去の記憶や体験に基づいて瞬時に決断することに役にたっているのです。

マインドフルネスで脳が「中庸」に保たれる

このようにDMNには、メリットデメリットがあるため、適度にDMNを働かせることが大切です。

休憩したいからと言って、DMNを機能させない状態にすると

 

  • 創造性が働かなくなる
  • 情報がうまく整理されなくなる
  • 普段やっていることができなくなる

 

などの悪影響が挙げられます。そこで、DMNの力をうまく働かせつつ、脳疲労を最小化させるには、DMNの他に、さらに以下の2つのネットワーク構造を知ることが必要です。

①セントラルエグゼクティブネットワーク(CEN)

CENとは、DMNと対になる働きです。具体的には、以下のようなネットワーク構造です。

意識的に注意を向けるときに活性化するネットワーク構造

例えば、

  • スポーツに熱中している時
  • 地図を見て目的地まで向かう時
  • 新しいことを行う時

 

などに活発になる脳の構造です。ざっくりと言うと、外側に意識を向けている状態のことです。

②セイリエンスネットワーク(SN)

SNとは、以下のようなネットワーク構造です。

DMNとCENの切り替えをするときに活性化するネットワーク構造

具体的には、自分の感情が思考など内部環境をモニタリングする時に活発になります。

例えば、

  • 妄想している自分に気づいた時
  • 怒りが沸いたことに気づいた時
  • うとうとしている自分に気づいた時

などに活発になります。

普段私達は、DMNとCENを行ったり来たりしています。その中で、SNがうまく機能していないと、切り替えが曖昧な状態になってしまうのです。これは、

「自動操縦状態(オートパイロットモード)」

といわれており、感情に支配され、自己コントロール能力が低下します。また、必要以上に脳のエネルギーを消費してしまうなど様々な悪影響が現れてしまいます。

マインドフルネスでDMNを抑制しよう

それでは、SNをどうすれば活性化させることができるのでしょうか。

それは、

 

  • マインドフルネスを行う

 

を行うことです。

マインドフルな状態では、それぞれのネットワークは以下のようになります

・DMNが抑えられる
・CENが活性化する
・SNが活性化する

そして、脳の働きを図にすると以下のようになります。

デフォルトモードネットワーク マインドフルネス

出典:Wikipedia Salience network

このようにSNを機能させることで、切り替えがを上手くなり、DMNとCENのバランスがとれるようになります。つまり、マインドフルネスを日常的に行うことで、脳が「中庸」に保たれ、脳疲労が最小限に抑えられるのです。

まとめ

私自身もマインドフルネスを実践してから、

「これ以上思考を続けると脳が疲れるな…」

と気づけるようになりました。

その結果、うまくDMNを制御できるようになった実感があります。数年前は、色んな思考が渦巻いて、常に脳疲労している感じだったのですが、マインドフルネスでかなり改善されたなと感じてします。

ぜひ、脳が休まらないという方は休憩時にマインドフルネスを行ってみてください。具体的なマインドフルネス瞑想のやり方は以下の記事で解説していますので参照してみてくださいね。

静坐瞑想

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teshy
マインドフルネス実践者/Webライター(公認心理師運営サイトのライター)

幼稚園から小学校4年まで学校では一言も話せない状態を経験。その後15年間、対人不安、強迫観念などの症状に悩まされる。マインドフルネスと出会い、これらの症状とうまく付き合えるように。現在では、マインドフルネスの発信をしつつ、原始仏教の実践にも取り組んでいる。※仏教は超初心者です
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