近年、脳科学の進展により、脳の役割を深く知ることができるようになりました。
その中で注目される一つが「偏桃体ハイジャック」という現象です。
これが起きると、不安や怒りが暴走して取り返しのつかないの状態に陥る事が多くなってしまいます。
そこで本記事では、偏桃体ハイジャックの意味や原因、マインドフルネス的な対処法について解説をしていきます!
Contents
偏桃体ハイジャックとは?
偏桃体とは?
偏桃体は、脳内にあるアーモンド形の神経構造で、主に感情の処理と認識に関わっています。
特に恐怖や脅威にかかわる反応に重要な役割を果たしています。
偏桃体が過剰に刺激されることで、「偏桃体ハイジャック」が生じるとされています。
理性的な判断が難しくなり、感情に支配された行動が引き起こされることがあります。
偏桃体ハイジャック-感情が抑えられなくなる
偏桃体ハイジャックとは、
- 感情が抑えられなくなる状態のこと
です。
ストレスや不安感から、強い怒りや恐怖が生まれ、破壊的な行動を起こす可能性が高い状態です。
具体的には、以下のケースが挙げられます。
・渋滞でのイライラ
大渋滞に巻き込まれた際、偏桃体ハイジャックにより我慢できずに怒りを抱え込むことがあります。他の運転手に対して暴言を吐いたり、急発進してしまったりすることがあるでしょう。
・仕事でのストレス
忙しい仕事やプロジェクトに取り組む中で、ストレスが溜まり偏桃体が刺激されることがあります。急に怒りやイライラを感じて、同僚や部下に対して過激な態度を取ってしまうことがあります。
・家族やパートナーとの口論
家庭内の問題やコミュニケーションの誤解によって、感情が高まる場面もあります。偏桃体ハイジャックが起こり、怒りや悲しみが行動に影響を与えることが考えられます。
脳科学的な視点から見ると、この現象は感情と理性のバランスの乱れによって起こるものと考えられます。
マインドフルネスが偏桃体ハイジャックが和らぐ
ここで、マインドフルネスが偏桃体ハイジャックに対する有益な対処法となる可能性について考えてみましょう。
マインドフルネスで前頭葉(理性)が鍛えられる
前頭様はおでこの奥にある脳部位で、思考、判断、情動のコントロール、コミュニケーションなど理性的な活動を司っています。
マインドフルネスの練習により、前頭葉が鍛えられ、活性化することがわかっています。
これはマインドフルネスによって、
・自己観察
・集中力の向上
・感情の調整
などが促進されることによるものと考えられています。
瞑想によって脳がマインドフルに活動することで、前頭葉の神経の結びつきが強まり、より効率的に働くのです。
瞑想は今ここに気づく実践であるため、訓練を続けることで、怒りや不安の火種に気づけるよになり、大ごとになる前に適切な対処ができるようになります。
灰白質の増加と感情コントロール
マインドフルネスの練習による効果として、脳の中の「灰白質(かいはくしつ)」と呼ばれる部分が増えることが確認されています。
灰白質は脳の中で神経細胞が集まっている領域で、学習や記憶、感情のコントロールに関わる大切な役割を果たしています。
マインドフルネスを継続的に行うことで、脳の中にある特に前頭葉や海馬などの部分において、灰白質の量が増えるという研究結果があります[1]。
灰白質が増えると、感情が湧き上がった時に冷静に対処したり、怒りや不安といった感情に対して適切に対処したりする力が高まります。
つまり、マインドフルネスの練習によって、灰白質が増えることで感情のコントロールが強化され、自分の気持ちを上手にコントロールできるようになるのです。
マインドフルネスは不安を減らす
実際、マインドフルネス瞑想の練習は、感情のコントロールや自己観察のスキルを高め、冷静な判断を促すことが研究によって示されています。
例えば、本田(2017)の研究[2]では、マインドフルネスの3つの要素が、社交不安障害を低下させることが報告されています。
この研究からも、マインドフルネスの実践によって、不安を客観的に見れるようになり、「偏桃体ハイジャック」を防止できることが考えられます。
まとめ
偏桃体ハイジャックは、怒りや不安など感情を司る「偏桃体」が過剰に刺激されることで、感情的が抑えられなくなる状態です。
一方で、マインドフルネスは、今この瞬間に意識的に気づく訓練であり、今の自分の感情や思考を客観視する力が溜まります。
マインドフルネスの実践を繰り返していくことで、衝動的な行動を抑え、より理性に対応できるようになります。
感情がよく燃え上がる…という方は、ぜひマインドフルネスを生活に取り入れてみてくださいね。
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