よく混同されがちなのが、「マインドフルネス」「瞑想」の2つの言葉。私も当サイトで同じ意味として使ってしまうこともありますが、それぞれ厳密には意味は異なります。
すべての瞑想をマインドフルネスと捉えると、誤った実践になる可能性があり要注意です。
そこで今回は、マインドフルネスと瞑想の違いについて詳しく解説していきますね。
Contents
マインドフルネスと瞑想の違い
さっそく、マインドフルネスと瞑想の違いについてみていきましょう。
定義
マインドフルネスは、以下のような意味として用いられます。
今ここでの経験に評価や判断を加えることなく能動的に注意を向けること
つまり、今ここの体験をいい悪いと判断せずに自ら注意を向けることという意味でよいでしょう。
一方で、瞑想とは以下のような意味があります。
黙想,観想ともいう。心を静めて神に祈ったり,心を一つに集中すること
(改訂新版 世界大百科事典より引用)
つまり、瞑想とは、目を閉じて心を集中させる行為を指します。
このようにマインドフルネスは「今ここを観察すること」、瞑想は「目を瞑って何かに集中すること」という意味でとらえてよいでしょう。
歴史
マインドフルネスは、仏教の瞑想法であるヴィパッサナー瞑想を元にしたものです。ヴィパッサナー瞑想は、2,500年以上前から行われている瞑想法です。
ヴィパッサナー瞑想は、
- 自分の内面を観察することで、真の自分を悟ること
を目的としています。瞑想は、古代から世界各地で行われてきた精神修行の一種です。
一方で、瞑想は、宗教や文化を超えて、さまざまな形で行われてきました。キリスト教であれば祈り、イスラム教なら短い言葉を唱え続け、神をイメージするズィクルというものがあります。
瞑想全般とマインドフルネスを同じすると危険
このように瞑想は様々な文化や宗教によって行われていますが、物によってはマインドフルネスと真逆の側面を持つ瞑想もあります。
前述の通り、マインドフルネスは「ありのままに観る」実践です。
そのため基本的には以下のような瞑想はマインドフルネスの逆効果となってしまう可能性があります。
- 絶対的な存在をイメージする瞑想
- 現実逃避としての瞑想
- 事実でないことを念じる瞑想
- 願望をより詳細にイメージする瞑想
これらは、自分の思考で作り上げた概念に集中するタイプの瞑想。なので、マインドフルネスとは真逆の性質があるものになります。
すなわち、マインドフルネスは「キリスト教の祈り」や「イスラム教のズィクル」「願望実現系スピリチュアル」などの瞑想とは別物であると言えます。
マインドフルネス瞑想とは?
瞑想を通じてマインドフルネスを実践することを「マインドフルネス瞑想」といいます。マインドフルネス瞑想は、祈りや唱えごとと同じく瞑想というカテゴリーの1つになります。
マインドフルネスの種類
マインドフルネスの瞑想実践は以下のような種類があります。
①静座瞑想
座った状態で行うマインドフルネス瞑想です。マインドフルネス瞑想の中核ともいえる瞑想法です。
②慈悲の瞑想
他者への思いやりや慈悲の心を育む瞑想です。自我を弱め、日常の悩みや苦しさが静まる効果もあります。
③歩く瞑想
歩きながら行うマインドフルネス瞑想です。長時間行いやすく、瞑想が深まりやすいです。
④ボディスキャン瞑想
全身の部位を1つ1つ観察する瞑想法です。体との一体感を取り戻すことができます。
⑤マインドフル・ムーブメント
ヨガやエクササイズなどを通じて行うマインドフルネス瞑想です。体の「限界」に気づき、その時その時、自分の体に必要な行動を取ることを大切にします。
⑥食べる瞑想
今この瞬間を観察しながら食べる瞑想法です。心が落ち着き、健康にも良い影響があります。
⑦マインドフル・コミュニケーション
相手や自分の話の内容や反応を観察する瞑想法です。意識的な選択ができるようになります。
⑧ジャーナリング
感情や思考をありのままに書き出す瞑想法です。不安やストレス、うつの軽減につながります。
⑨日常生活での瞑想
日々の生活をマインドフルに行う瞑想法です。気づきを日常生活にキープすることで、よりマインドフルネスを深めることができます。
⑩ラベリング瞑想(ヴィパッサナー瞑想)
呼吸や身体の感覚、動作をラベルつけながら観察します。雑念が生まれにくく、瞑想を深める効果が高いです。
⑪集中瞑想(サマタ瞑想)
特定の対象に注意を向け、集中力を高めます。今ここ在るがままに観察する力を養います。
⑫観察瞑想
対象を決めずに、あるがままに今起きている体験すべてに注意を向けます。物事の変化を観察し、あるがままに現実をとらえます。
それぞれの内容を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
形式的な瞑想せずにマインドフルになる方法
ディーパック・チョプラ博士によれば、「さまよう意識的に心を現在の瞬間に戻すとき」にマインドフルネスが生まれるとのこと。
では、どのようにして瞑想なしでマインドフルになるか、いくつかの方法をご紹介します。
日常生活の行動をマインドフルに行う
マインドフルネスは、特別な場所や時間に行うものではありません。日常生活のあらゆる行動をマインドフルに行うことで、マインドフルネスを実践することができます。
例えば、
- 歯磨きをするときは、
歯ブラシの動きや感覚に意識を向ける。 - 歩くときは、
足の動きや地面の感覚に意識を向ける。 - 食事をするときは、
食べ物の味や食感に意識を向ける。 - 仕事をするときは、
目の前の作業に意識を向け向ける。
このように、日常生活のあらゆる行動をマインドフルに行うことで、心を今この瞬間に集中させることができます。
ラベリング瞑想を行う
ラベリング瞑想とは、自分の行動や思考を言葉でラベリングすることで、マインドフルネスを高める方法です。
例えば、
- 歩いているときは、
「右、左、右、左」と実況中継する - 食事をしているときは、
「噛む、飲み込む」と実況中継する - 仕事をしているときは、
「(マウスを)動かす、(キーボードを)打つ」
と実況中継する
ラベリング瞑想を行うことで、自分の行動や思考を客観的に観察できるようになり、マインドフルネスを高めることができます。
呼吸に意識を向ける
呼吸に意識を向けることも、マインドフルネスを実践する簡単な方法です。
例えば、深呼吸をして、息を吸うときは「吸う」、吐くときは「吐く」と意識しましょう。また日常生活のあらゆる場面で、呼吸に意識を向けるようにしましょう。
これはやや瞑想に近いと思われるかもしれませんが、必ずしも目を閉じて、座って行う必要はありません。いつでも呼吸を意識することで、マインドフルネスを実践することができます。
自然と触れ合う
自然と触れ合うことも、マインドフルネスを実践する効果的な方法です。
例えば、
- 公園や森林を散歩して、
木々の葉や草の触感を感じる - 海や山などの自然の中で
風や波の音を感じる
などが挙げられます。
自然と触れ合うことで、心が落ち着き、マインドフルネスを高められるんですね。
マインドフルネスは、特別な方法や道具を必要とするものではありません。日常生活のあらゆる行動をマインドフルに行うことで、誰でもマインドフルネスの実践が可能です。
まとめ
まとめると、「マインドフルネス」は今ここをオープン(受容・慈しみ)に生きるというあり方で、瞑想はそれを実践するための方法です。
自分で概念を作り上げるのではなく、自然と現れてくる今ここの現象に気づいていきます。一方で瞑想は、今ここに集中するものもあれば、イメージを使うものもあります。
マインドフルネスと瞑想には、このような違いがあることをぜひ押さえておきましょう!
・マインドフルネスと瞑想の違い
・マインドフルネス瞑想とは?
・瞑想せずにマインドフルネスを行う方法