DoingモードとBeingモードの違いとは?上手く使い分けよう

本記事でわかること

・Driven–doingモードとは?
・Beingモードの欠点
・DoingモードとBeingモードの使い方

男性

現代では、

  • 仕事
  • 学業
  • 家庭

などの社会的な期待に応えるため、目標を追い求め、効率的に生きようとする傾向が顕著です。

重要なことでありますが、そのせいでひどく悩んだり、落ち込んだりと精神的な悩みに結びつくことも少なくありません。

そこで大切なのが、マインドフルネスの文脈でよく語られる「Doingモード」と「Beingモード」の違いを理解することです。

これらの違いを知り、バランスよく使い分けることで、せわしない日常の中でも安らぎを得られるようになります。

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目標を追いかけすぎて、今をなおざりにすると幸福感が下がる

Doingモードとは?

Doingモードとは、することモードとも呼ばれ、「何かをする」ことに意識が向いている状態です。

例えば、以下の状態の時にDoingモードで働いています。

 

Doingモードでいる時
  • 計画を立てる時
  • 問題の解決策を考える時
  • 良い悪いの評価する時
  • あれこれ思い悩む時

 

Doingモードは将来や過去を考え、目標を達成する方向に働きます。

Driven–doingモードとは?

一方で計画がうまくいかなかったり、失敗したりすると

 

「自分はダメな人間だ」
「なんでうまくいかないんだ」
「どうすればうまくいくんだ」

 

などと、自分を批判したり、焦ったりして精神的に不安定な状態になっていしまいます。その結果、ますます目標達成がうまくいかなくなる、という悪循環に陥ってしまうことも。

こうしたDoingモードの中でも、問題がある側面のことをDriven–doingモードと呼びます。考えすぎたり、反すう思考が起きて同じ考えをぐるぐると繰り返してしまう状態です。

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Beingモードとは?

一方で、Beingモードとは、在ることモードとも呼ばれ、「ただ在る」ことに意識が向いている状態です。

例えば、以下の状態の時にBeingモードで働いています。

 

Beingモードでいる時
  • 今ここを観察している時
  • 物事に集中している時
  • 目の前のことをオープンに受け入れている時
  • 評価や判断を手放している時

 

Beingモードは将来や過去に意識を向ける代わりに、今ここに意識を向けます。自分自身が今ここに存在していることを、ただ受け入れて、その動きや変化を観察していくのです。

例えば、

 

・呼吸の感覚
・歩く時の足の感覚
・浮かんでいる思考や感情
・心臓の鼓動
・聞こえる音
・匂い
・目に見える色や形
・味

 

などがどのように現れて消えるのかを観察します。このように、Doingモードは「思考する」働きがあり、Beingモードは「観察する」働きがあるのです。

DoingモードとBeingモードのメリット・デメリット

それでは、具体的にDoingモードとBeingモードのメリット・デメリットを見ていきましょう。

Doingモードのメリット・デメリット

Doingモードのメリットを見ていきましょう。

メリット
  • 問題を解決しやすい
  • 計画的に行動できる
  • あらかじめ障害を予測して対策できる
  • 言葉を使った作業が得意

前述の通り、Doingモードは問題解決や目標達成をする際に役に立ちます。今ここにないものを求める働きがあり、現状を変えようとする燃料が生み出される状態です。

続いてDoingモードのデメリットを見ていきましょう。

デメリット
  • 無駄な思考が浮かびやすい
  • メンタルが不安定になりやすい
  • 自己批判に陥ることもある
  • 万策尽きた時に絶望感を覚える

一方で「期待」や「願望」も膨らんでしまい、妄想して無駄な思考に浸ったり、逆に失敗したらどうしようと考え、不安感に苛まれたりすることも多いです。

失敗したら、自己批判が現れたり、全ての策が尽きたときには強い無力感を覚えたりして、大変危険な状態に陥ることもあります。

Beingモードのメリット・デメリット

まずはBeingモードのメリットを見ていきましょう、

メリット
  • メンタルが安定する
  • ストレスが和らぐ
  • 感情に流されにくくなる
  • どんな体験も楽しめる

Beingモードは、評価判断をすべて手放し、今自分がどのような状態であれ、受け入れていきます。そのため、こうあるべきだなど自分を縛る考え方を持っておらず、ストレスフリーに生きることができます。

続いてBeingモードのデメリットを見ていきましょう。

デメリット
  • 言葉を使った作業がしにくくなる
  • Beingモードを保つのが難しい
  • 未来や過去のことを考えるのが難しい

Doingモード観察している最中は思考できないため、言葉を使った作業が苦手となる傾向にあります。

また、現代社会は刺激の海となっており、すぐにDoingモードが働く環境が整っています。Beingモードを維持しようとしても、かなりの訓練が必要になるでしょう。

BeingモードとDoingモードを使い分ける方法

1.Doingの時は「理性」を大切にする

Doingモードの欠点である「不安」「焦り」「考えすぎ」の問題はすべて感情が関わっています。

計画がうまくいかない時に「どうしよう、どうしよう」と焦っていても、問題の解決にはつながらないでしょう。そこで、何か計画を立てたり、改善策を建てたりする時は、理性に基づいて考えるようにしましょう。

例えば、仕事の売上が上がらない時は、

・営業マンが足りないのか
・広告のコピーが悪いのか
・アプローチできた顧客数が少ないのか
・時期的な問題なのか
・始めたばかりで認知が少ないだけか

などを見極める必要があります。

Doingモードが過剰になると、「早く結果がほしい」と焦りが生じてしまいます。合理性が薄れてしまい、手あたり次第に改善に走ってしまうことも…。

すると、やり方は間違っておらず、継続していれば成功できたはずが、安易に改善に走ってしまったことで逆に達成が遠のいてしまうことも少なくありません。

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2.強い思考や感情はBeingで受け流す

理性的に考えようとしても、上手くいかない時は感情が強く働いてしまうのが人間です。

そんな時はBeingモードに切り替え、生まれた思考や感情をあるがままに観察するようにします。

・今焦っているな…
・今怒りがあるな…
・今不安があるな…
・「なんでうまくいかないんだ」と思っているな…
・「あいつムカつく」と思っているな…
・「早く結果を出したい」と思っているな…

など、今起きている思考や感情を観察することで、それに影響されずに目の前のことに集中できるようになります。

また思考や感情はずっと現れているわけではなく、時間とともに消えていくものです。観察を続けることで、思考や感情が徐々に消えて、気分が落ち着いてくることが分かるでしょう。

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3「Doing」を「Being」で行う

前述の通り、Beingを保つことはとても難しいですが、できる限り日常的に今ここを観察しながら行うようにしましょう。

 

  • 「計画を立てる時もなるべく、自分の思考に気づきながら行う」
    「人と話す時も相手の話を傾聴し、自分の声など気づきながら話す」

 

など、Doingになりがちな活動もBeingでやってみることが大切です。

私たちは何もしなくてもDoingモードが働くように設計されています。そこで、Beingを日常的に意識することで、程よいバランスを保つことができます。

日々Beingモードでいる時間を増やすことで、思考や感情に巻き込まれることが無くなり、計画や問題解決をするときも必要な思考だけ行うことができます。

その結果、問題を引き起こすDriven–doingモードが和らぎ、適切な形でDoingモードを活用することができるようになるのです。

まとめ

DoingモードとBeingモードを使い分けるには、まずはDoingモードの際は理性を大切にし、強い感情や思考が現れたら、Beingモードで受け流すことが大切です。

そして、なるべくBeingモードでいる時間を増やして、日常的に感情に自動操縦されない状態を作るようにしましょう。

Beingモードでいる時間が増えれば、副作用なくDoingモードの力を使いこなすことができるようになります。

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マインドフルネス実践者/Webライター(公認心理師運営サイトのライター)

幼稚園から小学校4年まで学校では一言も話せない状態を経験。その後15年間、対人不安、強迫観念などの症状に悩まされる。マインドフルネスと出会い、これらの症状とうまく付き合えるように。現在では、マインドフルネスの発信をしつつ、原始仏教の実践にも取り組んでいる。※仏教は超初心者です
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