思ってもいないことを考えてしまう、抑えようとすればするほど逆に浮かぶ、自己嫌悪になる…
こんなお悩みはありませんか?実は私も悩んだ時期がありました。
具体的には、大切な人を傷つけてしまう(物理的に)ではと思ったり、ミスしてはいけないと思ったりして、逆にミスすることなど。
今でもこうした思考に苛まれる事がありますが、自分の思考を受け入れたり、客観的に観察することでだいぶマシな状態になりました。
今回は心理学系ライター5年、瞑想歴7年の私が考えたくないことを考えてしまう原因や対処法を解説していきます。
Contents
考えたくないこと考えてしまう理由「強迫観念」
恐ろしい考えが頭の中に浮かんでくると、「自分が気が狂ってるのか」と考えがち。しかし、これは決して特別なことではありません。誰しも少なからず、やってはいけないことを考えたことはあるのです。
ただ、その思考を真剣に捉えるかどうかがポイントになります。世の中には、「思考は現実化」するという言葉があるため、そういった恐ろしい思考も現実になるのでは?と真剣に捉えてしまう方がいます。
しかし、実際には考えるだけでは、現実化しません。例を挙げると、100万円明日手に入ってくれ!と本気で考えて、考えて、結果を確認してみてください。
おそらく誰も実現しないでしょう。思考だけでは不十分で、行動を起こさなければ実現はしないのです。
考えてはいけないと思うほど考えてしまう理由
人間には考えてはいけないと思うほど、逆に考えてしまう性質があります。心理学では、「シロクマのリバウンド効果」といいます。例えば、以下の問題にチャレンジしてみてください。
- 1分間、シロクマのことば絶対に考えてはいけません。
さて、いかがでしょうか。おそらく考えてしまった人がほとんどではないかと思います。このように、思考が抑えようとすればするほど現れてしまうものなのです。
そのため、考えたくないことを考えてしまうのはごく自然な現象であるといえます。
ミスをしてはいけないと思うほどミスをしてしまう理由
しろくまのリバウンド効果とは別に、ミスをしてはいけないと思うほどミスをしてしまう現象にも心理学的に名前がつけられています。これは自己充足的予言と呼ばれ、
- 人は無意識に思い込みに沿って行動してしまう
という心理を意味しています。
例えばミスをしてはいけないと強く思うほど、「自分はミスをする人間だ」という思い込みが強化され、結果的にミスをしてしまうのです。
このように基本的には、してはいけないという強迫観念が、考えたくないことを考えてしまう原因と言えます。
病気の可能性もある
一方で、自分の意思に反して繰り返し不快な思考が浮かんできて、日常生活に支障をきたす場合は、心の病にかかっている可能性があります。これは、「強迫性障害」というものです。
強迫性障害とは、自分の意思に反してある考えが頭に浮かび、払いのけることができなくなる強迫観念と、ある行為をしないと気がすまなくなる強迫行為が症状として現れる精神疾患です。
強迫観念の種類とは
そして強迫観念の中でも、代表的なものに「加害恐怖」という症状が存在します。他人に危害を「与えたかもしれない」もしくは「与えるかもしれない」と思い悩み、テレビや新聞を調べ漁ったしまいます。また、警察に話しを聞きに言ったりなどの行動を起こします。
他にも、不吉な数字にこだわって、不幸なことが起こるに違いないと思い悩む「数唱恐怖」という症状や自分は自殺するかもしれないと不安になる「自殺恐怖」などがあります。
こうした症状に当てはまり、日常生活に支障が出ている場合には、精神科や心療内科を受診するようにしましょう。
強迫観念を和らげる方法
強迫性障害の治療には、主に認知行動療法が使われます。変な考え方が浮かぶ度に、それを書き出し、正しい思考に修正するという方法です。
例えば、
・出来事
「偶然、時計を見たら4時44分だった」
・思考
「あー、不吉だ…死ぬかもしれない」
・感情
不安90%
恐怖80%
⬇︎
・新しい考え
「4時44分だったからといって、危ない事にあったことはほとんどない」
「もし、トラブルが起きても他に原因があるはずで、数字は全く関係ない」
・感情
不安50%
恐怖30%
という感じです。このように、変な思考が浮かぶ度に合理的な考えに修正することで、少しずつ強迫観念を抑えていくのです。
思考を現実的な考え方に変える癖をつけると、強迫観念も和らいでいきます。
私が克服した方法
私は嫌な考えが浮かんできて、眠れない日を過ごしたこともありました。その度に「なぜこんなことを考えてしまうんだ!」と自分を責めていました。
しかし、マインドフルネスと出会ってからは、強迫的な思考を受け入れられるようになりました。
マインドフルネスとは
マインドフルネスとは、簡単に言えば、
「いい悪いと言った評価をせずに今ここをありのままに観察する」
ことです。
もともとは自分の思い込みや偏見にとらわれず、ありのままの事実を見る訓練として用いられる仏教の修行法です。
思考は現実ではなく、自然と消えるもの
マインドフルネスの分野では、「思考は単なる物語にすぎない」という考え方があります。すなわち、現実に起こるものではないということです。
仏教の教えに、「無常」というものがあります。これは全ての物事は変化していくという真理を説いたものです。
つまり、どんな思考も放っておけば、必ず流れて消えていくので、嫌な思考を消そうと頑張る必要はありません。
そして、不安な考えがを抱えたままでいいので、正しい行動を取ることに集中していきます。この考え方を身につけてから、考えたくないことを考えてしまうことはあるものの、スルーできるようになりました。
コンパッションを育む
強迫観念が強くなる原因は、「~してはいけない…」という強迫的な思考が出た時に、そのことを批判してしまうことです。
- こんなことを考えてしまう自分はダメだ
- こんな思考を浮かんだら危険だ
などです。
批判することで、さらに「~してはいけない…」という強迫的思考が強くなってしまいます。そこで、大切なのは、自分へのコンパッション(思いやり)です。
強迫観念が浮かんでも、
と考えていきます。このように自分に思いやりを向けることで、自己批判のループから抜け出すことができます。その結果、強迫観念が和らぎ、少しずつ強迫的な思考に悩まされることが少なくなります。
関連記事:
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まとめ
誰でも変なことを考えてしまうことはあります。ただ、それを真剣に捉えてしまうため、頭から離れないくなってしまうのです。
ぜひ、マインドフルネスやコンパッションを学びつつ、強迫観念とうまく付き合っていきましょう。またやや継続のハードルは高いですが、認知行動療法もおすすめです。
強迫観念は非現実的な考え方から生まれることも多いです。考え方を現実的なものに修正することで、考えたくないことを考えてしまうことも少なくなるでしょう。