心理療法ACTとは【マインドフルネスから生まれたセラピー】

当エントリが解決するお悩み

・ACTを深く知りたい
・セラピーの内容を知りたい
・充実感を持って生きたい

 

 

最近になって「心理療法ACT」という新しいセラピーが出てきており、注目を集めています。

ACTをシンプルにに説明すると、

 

苦痛を受け入れて、自分らしく生きよう! 

 

というセラピーです。

私自身かなり不安症はタイプで、特に人と話すことが苦手ででした。

ただ、心理療法ACTを実践していく内に、

 

「不安や恐怖を感じたまま、行動すればいいんだ!」

 

という姿勢に変わり、今ではかなり自由になった感があります。 

「本当に大切」な行動が取れなかったり、苦しみを無くそうするほど、苦しくなってしまうという人にはに非常におススメの心理療法です。

しっかり実践することで、充実感を持って生きれるようになりますよ。

心理療法ACTとは?

ACTとはAcceptance&Commitment Therapy(アクセプタンス&コミットメントセラピー)の頭文字を取った略称です。

具体的には、

自分の「価値」を明確にし、それに沿って行動することで、意義深い人生を生きる

というセラピーになります。

1980年代から登場した、不快な体験に対してオープンになれるように促す新しい考え方です。

心理学者のスティーブン・ヘイズ博士が生み出した心理療法で、主にうつ病や不安障害の治療の活用されています。

スティーブン・ヘイズ

※画像出典:Wikipedia

ヘイズ博士は以下のように述べています。

苦痛から逃げようとするから、苦しいのだ。

ACTは、

「思考や感情を変えられないけれど、行動は変えることができる」

という立場を取ります。

変えられないものは受け入れ、変えられるものをどう変えるかという意識がとても大切です。不安を受け入れて、価値のある行動を取ることで、柔軟なメンタルを作ることができるのです。

ACTが目指す最終地点とは

ACTでは、以下の2つの心の状態を挙げています。

心理的非柔軟性

心理的非柔軟性とは、

「囚われやすい心」

のことです。

この状態になると、自分の大切なことから目を背けやすくなり、メンタルヘルスの状態が悪化しやすくなります。

心理的非柔軟性は、以下の6つのコアプロセスで構築されます。

ACT  目的

それぞれの意味については詳しく後述しますが、ざっくりと、

 

  1. 自分はコミュ症だから無理だ…
    (概念としての自己)
  2. どうせ失敗するに決まっている
    (認知的フュージョン)
  3. どう振舞えばいいかわからない
    (価値の明確さの欠如)
  4. コミュニケーション場面を回避する
    (体験の回避)
  5. 心理的非柔軟性が強まる!

 

といった流れで構成されていきます。

心理的柔軟性とは

心理的柔軟性とは、

「囚われにくい心」

のことです。

この状態になると、自分の大切なことに向かっていき、価値のある人生を送ることができるようになります。その結果、生活の質(QOL)やメンタルヘルスの状態も良好になっていくのです。

ACT 意味 心理療法

ざっくりと、以下の5つの流れで構成されていきます。

 

  1. 自分は何者でもない自然の流れだ
    (文脈としての自己)
  2. あ、今自分には無理だと思ったな…
    (脱フュージョン)
  3. コミュニケーションを大切にしたい
    (価値の明確化)
  4. コミュニケーション場面に参加する
    (コミットメントされた行動)
  5. 心理的柔軟性が高まる!

 

このように、ACTの最終目的は、

「囚われやすい心」から
「囚われにくい心」に

心をトレーニングすることなのです。

それでは、6つのコアプロセスを1つずつ見ていきましょう。

アクセプタンスから時計回りに解説していきますね。

①体験の回避→アクセプタンス

体験の回避とは

体験の回避とは、

「不快な体験から逃げる」

ことを意味します。

例えば、

・ストレスから過食に走る
・気を紛らわそうとして酒を飲む
・不安感から対人場面を避ける

などが挙げられます。本来はストレスの根源になっている問題に対処していくことをするべきなのですが、現実に向き合うことができず、手近な欲求に走ってしまうのです。

このように、問題から目を背け、一時的にいい気分になろうとすることを

 

  • 「コントロール戦略」

 

とよびます。

自分の思考や感情をコントロールしようとするほど、思考や感情は逆に増えてしまいます。そのため、長期的には自分にとってマイナスになってしまうのです。

・幸福を追うと、不幸になる
ACTの考え方として、「幸せになろうとするほど、不幸になる」というものがあります。幸福なりたいと思うほど、今の自分が不幸に思えてしまい、結果的に幸福感が低下してしまうのです。

実際に、2003年のダン・アリエリー博士の研究では、

「幸福な気分になろう!」

と思って曲を聞いた被験者は、いつも通り曲を聞いた被験者よりも、

 

  • 幸福度が450%も下がってしまった

 

との結果が出ています。幸せを追い掛けるという行為は、現実逃避に終わってしまうことケースが多いです。

そのため、一時的に気分が良くなっても、最終的には幸福度が落ちてしまうわけです。例えば、休日にディズニーランドを楽しんでも、翌日になれば現実に引き戻されて辛くなるみたいな状態です。

アクセプタンスとは

そこで、ACTでは不快な体験から逃げるのではなく、アクセプタンスしていきます。アクセプタンスとは、

「あるがままに受け入れる」

ことです。

ACTには、

感情や思考はコントロールできないが、
行動はコントロールできる

という考え方があります。例えば、以下のゲームにチャレンジしてみてください。

 

ピンク色の像について1分間、絶対に考えないでください。

 

どうでしょうか。人間は、

「〜してはいけない」

と思うほど、

「したくなって」

しまいます。

 

そのため、思考や感情を抑えるよりも、逆に受け入れることが重要なのです。

ここでいう「受け入れる」とは、

・感情や思考、感覚をなどを評価をせずにあるがままに捉える

ことです。

ピンク色の象

 

雲の動きを眺めるようなイメージで、感情や思考を観察するのです。

あくまでも、感情や思考は「自然現象」である捉えて、

 

「お、また不安があるな」

 

とそのまま認識していけばOKです。

コントロールしようとするのではなく、ただ観察することを意識していきます。

②認知的フュージョン→脱フュージョン

認知的フュージョンとは

認知的フュージョンとは、

「現実」と「思考」を合体させる

ことです。

例えば、

・仕事でミスするに違いない
・話しかけたら嫌われる
・どうせ無理に決まっている

などの考え方になります。

このように、現実と思考を合体させると、体験の回避が起きやすくなります。ストレスを感じやすくなり、メンタルヘルスが悪化してしまうのです。

脱フュージョンとは

脱フュージョンとは、

「現実」と「思考」を分ける

ことです。脱フュージョンには様々なテクニックがありますが、一番簡単なのは「〜と思った」と思考の後ろにくっつける方法です。例えば、

・仕事でミスするに違いないと思った
・話しかけたら嫌われると思った
・どうせ無理に決まっていると思った

などです。

ACT提唱者1人であるラス・ハリス博士は、次のように述べています。

 

  • 思考は単なる物語にすぎない

 

私たちは、脳がでっち上げたストーリーを現実だと思って、自分の行動を制限していまうのです。すると、大切なことから目を背けるようなり、どんどん味気ない生き方になってしまいます。

そこで、脱フュージョンを使い、「思考はただの思考」であることを理解することで、現実をありのままに捉えることができるのです。

また、脱フュージョンを行う時の注意点としては、思考や感情を「悪者」だと考えないことです。むしろ、

「いい情報を提供してくれてありがとう」

と感謝することが大切です。

不安などの思考も、あなたを危険から守るために発達した自然なシステムです。そうした警告には感謝をして、ただ思考に従うかは自分が決めるというスタンスが重要になります。

③概念としての自己→文脈としての自己

概念としての自己

概念としての自己とは、

「言葉で説明できる自分」

のことです。

例えば、

・私は20歳だ
・私は内向型だ
・私は日本人だ

などです。

このような、言葉の枠組みにとらわれると自由な行動をとれなくなります。

具体的には、自分が内向型だ!と強く思うことで、コミュニケーションを回避するようになるなどです。

言葉は人間が作り上げた記号に過ぎず、それは現実ではありません。あるがままに見ると、内向型な時もあれば、外向型な時もあるのです。

文脈としての自己

文脈としての自己とは、

「変わっていく流れとしての自分」

のことです。

自分とは、常に変化して移り変わるプロセスであると考えます。

別名、

・場としての自己
・観察者としての自己
・プロセスとしての自己

とも呼ばれます。

自分は言葉で説明できるものではなく、自然現象の一部で常に変わっていくものだ。という自己認識が心理的柔軟性にとって重要なのです。

④機能しない行動→コミットされた行動

機能しない行動

機能しない行動とは、

「自分の人生を豊かにしない行動」

のことです。

ACTでは、「有効性」という概念を重視します。有効性とは、自分の人生を豊かにするか?しないか?という基準の部分になります。

体験の回避やコントロール戦略が起きている時は、機能しない行動をとりやすいです。例えば、ダイエットをしたいのに、甘いもの食べてしまったり…。

こうした機能しない行動が増えると、自分の人生が不十分なものに思えてくるのです。

コミットメントされた行動

コミットメントされた行動とは、

「必要な行動を起こす」

ことです。

機能しない行動を行う代わりに、人生を豊かにするためのに必要な行動を起こすのです。

例えば、対人不安な人は、人間関係を避けるという行動をとりがちですが、少しでもコミュニケーションに参加していくことが大事です。

⑤価値の明確さの欠如→価値の明確化

価値の明確さの欠如

価値の明確さの欠如とは、

「自分が大切なことがハッキリしない」

ことです。価値観とは、簡単に言うと「人生の指針」です。

例えば、

  • どんな人間でありたいか
  • 周囲とどんな関係を構築したいか
  • どんな能力を高めたいか

などです。

こうした指針がないと、人生の中で迷いが多くなってしまいます。また、自分にとって、どんな人生が豊かなのかが見えなくなり、苦痛から逃避することが多くなります。

価値の明確化とは

価値の明確化とは、

「自分の大切なことをハッキリさせる」

ことです。人生の指針をハッキリさせることで、

・迷いがなくなる
・充実感をもって生きられる
・苦しくても行動することができる

などのメリットがあります。

このように、ストレスを力に変えることができたり、意志を強くさせたりすることもできるのです。

ちなみに価値観を明確にする方法は以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。

⑥概念としての過去や未来の支配→「今この瞬間」との接触

概念としての過去や未来の支配とは

概念としての過去や未来の支配とは、

「過去や未来に縛られる」

ことです。例えば、

  • どうせまた失敗するに違いない…
  • 明日のプレゼンで緊張したらどうしよう…
  • 昨日叱られたから気まずいな…

などの状態です。

こうした思考は、言葉を通じて行われます。言葉とは、言い換えれば「概念」です。

つまり、言葉で説明できるような過去や未来に束縛されて、今ここに集中できない状態が「概念としての過去や未来の支配」です。

「今この瞬間」との接触とは

「今この瞬間」との接触とは、

「今ここに集中する」

ことです。つまり、マインドフルネスを意識することが大切です。

マインドフルネスとは、評価や判断を加えずに、今この瞬間の体験に注意を向けることです。過去や未来に囚われるのではなく、今起こっている感覚や感情、思考を観察していくのです。

マインドフルネスを行うことで、概念としての過去や未来から、一定の距離を保つことができます。

その結果、束縛されることがなくなり、今ここを自由に生きることができるようになるのです。

実践しよう

ACTとはどんなものかなんとなくイメージできましたでしょうか?避けられない苦痛を受け入れ、価値に向かって行動することでメンタルを安定させることができます。

まずは、ACTの主要なテクニックである、

・脱フュージョン
・アクセプタンス

などから練習していくと、感情を押さえ込まない柔軟なメンタルを築くことができるでしょう。

出典

Jonathan W. Schooler,Dan Ariely,George Loewenstein,(2003)The pursuit and assessment of happiness may be self-defeating Chapter in preparation for J. Carrillo and I. Brocas (Eds) Psychology and Economics: Oxford, GB: Oxford University Press

ラス・ハリス(著)武藤 崇  (監修, 翻訳), 岩淵 デボラ (翻訳), 本多 篤 (翻訳)よくわかるACT 明日から使えるACT入門 星和書店 2012

 

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teshy
マインドフルネス実践者/Webライター(公認心理師運営サイトのライター)

幼稚園から小学校4年まで学校では一言も話せない状態を経験。その後15年間、対人不安、強迫観念などの症状に悩まされる。マインドフルネスと出会い、これらの症状とうまく付き合えるように。現在では、マインドフルネスの発信をしつつ、原始仏教の実践にも取り組んでいる。※仏教は超初心者です
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