当エントリが解決するお悩み
・人と会った後に一人で後悔する
・何度も同じことを繰り返し考えてしまう
・一人を反省会や脳内反省会を辞めたい
日常の生活で「周りからの評価」や「過去の出来事」について悩み、ストレスを感じることは少なくありません。
もちろん、自分の行いを反省することは大切ですが、過度に悩みすぎると、かえって抑うつ感が増してしまい、さらに状況が悪化してしまうケースもあります。
そこで、この記事では、一人反省会・脳内反省会をやめる心理学的な方法について解説をしていきます。
Contents
一人反省会・脳内反省会はつらい
ひとり反省会など、何度も同じことを考える思考を「反すう思考」と言います。
後悔が頭から離れない時は、反すう思考が起きていると言えます。
心理学では「反すう思考」がうつ病の原因と考えられており、ぐるぐると考えが巡っている状態はメンタヘルスに悪影響を及ぼします。
- 「自分にはダメな人間だ」
- 「あの時もっとこうしておけば…」
と何回も考えてしまうことで、そのイメージが刷り込まれてしまい、抑うつ感の原因になってしまうのです。
考えすぎてつらい…、会話の後にいつも過去を引きずってしまう…という人は注意が必要です。
一人反省会・脳内反省会と「負のループ」
一人反省会・脳内反省会をすることで、次に同じ状態になった時に「また同じミスをするのでは…」と過剰に意識してしまうことが多いです。
これは一人反省会や脳内反省会を行ったことによって、起きてしまったネガティブな体験やそれによって引き起こされた感情を、記憶に刻みこんでしまうためです。
そのため、一人反省会の内容は人それぞれですが、大抵は
「ミスをしてしまった」
「あの時の人の言動が気になる」
「周りに対する怒り」
などが挙げられます。こうした状態に再度直面した場合に、強い不安を感じてしまい、その結果、「ミスをしたり」「人の言動が気になったり」「怒ったり」しやすくなります。
このように一人反省会をすることで、不安感や妄想、思い込みに流されやすくなり、さらに一人反省会をしやすくなってしまうのです。
一人反省会・脳内反省会の原因
1.公的自己意識が高い
公的自己意識とは、「自分がどのように見られているか」気にする意識のことです。
菅原(1984)[1]の研究によれば、公的自己意識が高くなるほど、対人関係で緊張する悩みが増えることが分かっています。
一方で「自分がどうありたいか」を大切にする私的自己意識が高いと、対人関係で緊張する悩みが強くなることはないとされています。
公的自己意識が高い人は、周囲からの評価や自分の立場に敏感で、自分の言動に対して責任感を持っています。そのため、自分の言動や行動が、その場にふさわしかったかどうかを一つひとつ振り返り、反省してしまう傾向があります。
2.自己批判が強い
自己批判が強い人は、自分に対して厳しく、完璧主義的な傾向があります。大井ら(2017)[2]では大学生,大学院生 19 名を対象に反すう思考の内容について調査をしました。
その結果、
「嘆き・後悔」
「解決策」
「自己への批判」
「原因追究」
「漠然とした不安」
「諦め」
「肯定的な意味づけ」
に分類されました。さらに反すう前後の気分の状態についも質問し、気分との関連を踏まえて反すう思考の内容を次の5つに分類しました。
・出来事の受容を経てポジティブ気分につながる反すう
・疲労時に生じる無意図的な反すう
・自己批判を含み後悔を持続させる反すう
・ネガティブ気分時に生じる意図的な反すう
・ニュートラルな気分時に生じる侵入的な反す
つまり、自己批判が多いと、後悔が増えると考えられそうです。
自己批判を和らげる方法について深く知りたい方は、下記をご覧ください。
セルフコンパッションとは?やり方・効果・心理学的なトレーニング法を解説
3.思い込みに左右される
思い込みに左右される人は、自分の思い込みや先入観にとらわれやすく、物事をネガティブに捉えてしまう傾向があります。
具体的には以下の思考があると、一人反省会・脳内反省会が起きやすくなると考えられます。
・レッテル貼り
「この人は怖い人だ!」など自分や他人を決めつける思考
・拡大解釈
少し失敗しただけでも「自分はダメ人間だ!」と人生全体に反映させてしまう
・感情的決めつけ
「自分は嫌われているに違いない!」と感情的に決めつけてしまう
これらの思考があると、会話後に自分のことを振り返ったり、他人の言動を気にしたりするようになります。そのため、自分の言動や行動に対してもネガティブな捉え方をしてしまい、反省することが多くなります。
思考を紙に書き出す(ジャーナリング)
思考をありのままに紙にか出すことは、マインドフルネス心理学では、ジャーナリングと呼びます。URMC(ロチェスター大学医療センター)が発表しているジャーナリングの効果によれば、以下のことが分かりました。
- 不安やうつ、ストレスが軽減される
紙に書き出すことで、漠然とした不安感が明確なったり、自分の思考や感情を客観的に見ることができるようになり、ぐるぐると一人反省会することが少なくなります。
ジャーナリングについてより深く知りたい方は下記をご覧ください。
マインドフルネスで後悔を鎮める
後悔しているときは意識が「今」ではなく、「過去」に向かっているので、心ここにあらず状態になります。
そこで、意識を「今」に向ける努力をすることで後悔が収まります。やることは簡単で、
今に集中する、後悔が浮かんだら、それに気づき意識を戻す。
今に集中するというのは、
- 歩いている時は足の感覚に集中する
- 食事している時は味に注意を向ける
などのことを意味します。
つまり、「今、五感で感じていることに集中する」ということです。
こうした、今ここに気づく作業は、心理学では「マインドフルネス」と呼ばれています。
ひとり反省会を始めたら、それに気づき、いま感じている感覚に集中しましょう。
認知行動療法で止める
こうした状態から少しでも早く抜け出すためには、「認知行動療法」が効果的です。
認知行動療法とは、うつ病などの治療法でよく使われる方法で、誤った思考と行動を修正する方法です。例えば、
- 上司に怒られた(出来事)
- 私は無能な人間だ(自動思考)
- あ、無能な人間だと思ってしまった!(気づき)
- こなしてきた仕事もある(自動思考の修正)
という流れがメジャーなやり方です。何か嫌なことがあると反射的にネガティブに考えてしまうわけです。
そして、意外に思われるかもしれませんが、人は自分の思考や感情に気づいていないのです。
例えば、怒りを感じた時に「今、自分は怒っている」と客観的に認識できる人はごくわずかです。
ちなみに、
- 「あーイライラする〜」
- 「腹立ってきたわ!」
などは、自動思考に飲まれているだけで、気づきではありません。
あくまでも怒っている状態が、自分の体にどんな反応を生み出すかを観察することが大切です。
一人反省会・脳内反省会を止めるステップ5つ
そこて、後悔の念が頭から離れない時、スムーズに反すう思考を抑える方法があります。
それが認知行動療法を使ったAWAREテクニックです。
以下の5つのステップを踏むことによって後悔の念を鎮めることができます。
ステップ1:Accept(受け入れる)
最初は不安な思考を受け入れていきます。あくまでも抑え込もうとせずに自然現象として捉えることがポイントです。
ステップ2:Watch(観察する)
不安な感情や思考を観察していきます。思考は自分とは別の存在として認識して、ただ観察します。イメージとしては雲が流れているところ眺めている感じです。
不安な気持ちが収まっていくのと同時に雲が遠くに消えていくところ想像します。
ステップ3:Act(不安を気にせず行動する)
不安や恐怖を抱えた上で行動していきます。完全に不安が消えることはないので、そのままの状態で今やるべきことに集中すればOKです。
ステップ4:Repeat(以上の3つのステップをくり返す)
以上の3ステップを繰り返していきます。不安な思考が沸き起こる同時に自動的に1〜3までのステップが行えるようになるのが理想です。
ステップ5:Expect(現実的な結果を期待する)
「大丈夫だろう」と、前向きに考えつつもポジティブになりすぎず、現実的な結果を期待します。
ゴールにたどり着くまでに、どんな障害があるかを考えて、不安を抱えながらも今やるべきこと行っていきます。
私も脳内反省会・一人反省会が起こった時は、この5つのステップを使っています。不安な感情を受け入れることで、自然と反すう思考が収まっていきます。
一人反省会・脳内反省会と上手く付き合う
このように、後悔の念は抑えようすればするほど逆に現れてしまいます。
そこで、何も考えずに「観察」をすることが大切です。
また、客観的に思考を書き出し、原因と対策を考えることで、「次はここを意識すれば大丈夫!」と考えられ、反すうが止まります。
一人反省会・脳内反省会が止まらない時は、
- ジャーナリング
- マインドフルネス
- AWAREテクニック
で対処してみてください。適切に反省することができれば、時間とエネルギーを浪費することなく、聡明な思考でいられますよ。