マインドフル・ムーブメント(動く瞑想)の効果・やり方

ヨガ
本記事でわかること

・マインドフル・ムーブメントとは?
・ストレス、不安、うつを下げる
・すぐに実践できる簡単なやり方

スクワット

 

「動く瞑想」という言葉を聞いたことがあるけれど、具体的にはどうやるのか、そして本当に効果があるのか気になりませんか?

そこで、この記事では、マインドフル・ムーブメントのやり方やその効果について紹介していきます。

特にマインドフル・ムーブメントは日常生活に取り入れやすい方法なのでおすすめです!

teshy
マインドフル・ムーブメントで体との一体感を取り戻そう

マインドフル・ムーブメントとは?

マインドフル・ムーブメントは、その名の通り、「動く瞑想」のことです。

ヨガやエクササイズ、ストレッチなどが用いられますが、ただ体を動かすだけではなく、その一瞬一瞬に集中し、自分の心と身体と向き合うことが大切です。

瞑想する猫

例えば、ヨガでは呼吸に合わせたポーズをとることで、心と体がつながる瞬間が生まれます。

ストレッチや運動も同じで、その動きに自分の意識を注いでいくことがマインドフル・ムーブメントになります。

難易度は低め

動きを伴うマインドフルネスは、比較的難易度が低いとされています。体を動かさないマインドフルネスは、長時間行うと、痛みやしびれなど向き合わなければなりません。

一方で、マインドフル・ムーブメントは身体を伸ばしたり、ストレッチしたりするため、身体は最初から最後まで気持ちの良い状態でいられます。

マインドフル・ムーブメントの効果

まずはマインドフル・ムーブメントの効果を見ていきましょう。

ネガティブ感情を下げる

マインドフル・ムーブメントはネガティブ感情を下げる効果がある可能性があります。

Yangら(2018)[1]の研究では、158 人の参加者マインドフルな動きの実践が、

 

  • ストレス
  • 不安
  • うつ病

 

などのネガティブ感情にどのように影響するかを調査しました。この研究では、

・大学生を対象に14日間の実験
・起床時の動きや主観的な感情を記録してもらう

という内容で調査をしました。

その結果、マインドフルな状態で動いていると、通常よりもネガティブ感情が低下する傾向が見られました。

瞑想

注意力を高める

またマインドフル・ムーブメントが注意力を高める効果があることもわかっています。

Laura C. Rice(2023)[2]の研究では、

 

・7〜8歳の子供38人を対象
・週に2回、マインドフルムーブメントを実施

 

という内容でマインドフルムーブメントが不注意や衝動性に与える影響を調べました。

このプログラムでは、

 

  • 太極拳
  • ヨガ
  • ウォームアップ
  • 想像力を使った遊び

 

などをマインドフルに行ってもらいました。

結果として、不注意、過活動、衝動的、反抗的、その他の問題行動に関して有意な改善が見られました。

マインドフルに動くことで、理性が働き、注意力が高まったり衝動的に動いたりすることが少なくなるのかもしれません。

マインドワンダリングを下げる

さらにマインドフルヨガを行うことで、心があちこちにさまよっている状態である「マインドワンダリング」が静まることが分かっています。

鈴木ら(2021)[3]では、瞑想やヨガ未経験の女子学生8名を対象に、マインドフルヨガの効果を調べました。

ヨガプログラムでは、経験豊富なインストラクターの指導のもと、身体の動きに注意を向けながら、

 

  • ウジャイ呼吸(呼吸法)
  • 太陽礼拝(ヨガの実践)

 

を組み合わせた、30分間のレッスンを行ってもらました。

その結果が以下の図です。

マインドワンダリング

このように、ヨガ前とヨガ後を比べると、ヨガ後の方が「マインドワンダリング」が減ってることが分かります。

小規模な実験ながらも、身体の動きに注意を向けてヨガを行うことは、ぼーっとした状態を少なくし、意識的な状態をキープしてくれると言えそうです。

緊張を緩める

鈴木ら(2021)同研究では、マインドフルヨガが緊張に与える効果も調べられています。

その結果が以下のグラフです。

緊張覚醒の画像

このように、ヨガ前とヨガ後を比べると、ヨガ後の方が緊張覚醒が減っていることが分かります。

これは直感的にもわかりやすいですが、マインドフルヨガを行うことで、身体もリラックスできると言えそうです。

その他の効果

その他、マインドフルヨガには、コミュニケーションや学習へのアプローチも高まることが分かっています。

McConvilleら(2020)[4]の研究では、理学療法の学生を対象にマインドフルネスの実践について調査しました。

このマインドフルネス実践では、まず2時間の講義でマインドフルネスについて説明し、その後に

 

  • 座位瞑想(MSR)
  • マインドフルネス運動(MMov)

 

の6週間のプログラムに参加してもらいました。その結果、両方のプログラムに参加した学生は、

  • 自己認識
  • メンタルヘルス
  • セルフケア
  • コミュニケーション
  • 学習へのアプローチ

などが改善されました。

特に、MMovプログラムに参加した学生は、運動を通じて得た経験を理学療法士としての実践に応用したと答えました。

マインドフル・ムーブメントの基本

ゆっくりと動かす

マインドフル・ムーブメントを行う時は、ゆっくりと身体を動かすのがポイントです。目安としては、1つの動作を行うときに最低でも5秒はかけるようにしましょう。

ただ日常生活の動きやエクササイズを瞑想とする場合には、ゆっくり動かす必要はありません。

身体の感覚に注意を向ける

マインドフル・ムーブメントでは、動作中に身体の感覚に注意を払います。

どの部分が動いているか、どのような感触があるかを意識的に感じながら、動きに集中します。これによって、動きそのものが瞑想の一環となります。

その時その時の状態に対応する

身体の状態や感情は日々変化します。マインドフル・ムーブメントでは、その瞬間の自分の状態に柔軟に対応することが大切です。

その時の自分の身体の限界を確かめ、常にちょうどいい動きを心がけます。

瞑想

正しくやろうとしない

正しい姿勢やポーズを取ろうとする必要はありません。例えば、身体が硬くて自分のポーズが不完全であっても、ただそれを認めていきます。

この記事でもムーブメントのやり方を紹介しますが、一語一句同じ動作しようとする必要もありません。大体あってればOKという、気楽な感じで実践しましょう。

無理をしない

マインドフル・ムーブメントでは、身体の柔軟さを高めたり、鍛えたりといったことは目的ではありません。そのため、無理をせずに自分の身体に優しく接することが重要です。

常に限界を超えない安全な範囲で、動作を抑えるようにします。

また痛みを伴うポーズは行わないようにしましょう。もしくはポーズをとっているところを想像するだけでも構いません。

マインドフル・ムーブメントのやり方

自分の好きな動作でOK

マインドフル・ムーブメントは上記の基本を抑えた動きであれば、どんなものでも構いません。

  • ヨガ
  • ストレッチ
  • 筋トレ
  • エクササイズ

など、個々の好みに合わせて取り入れることができます。その時、その時に応じて取り入れやすいものを選びましょう。

ベーシックムーブメント瞑想

もし迷ってしまう場合には、当サイトで提唱している「ベーシックムーブメント瞑想」がおすすめです。

ベーシックムーブメント瞑想は以下の動作をマインドフルに行っていきます。

  1. ゆっくり横になる
  2. ゆっくり座る
  3. ゆっくり立つ

これを1~3、3~1の流れで制限時間まで繰り返していきます。

このまま行ってもいいですし、その時の状況に合わせて各姿勢のあとにポーズやストレッチを追加しても構いません。

これらの動きは日常生活の基本動作に含まれており、ムーブメント瞑想を行うことで、日常生活でも身体の動きに自然と注意が向くようになります。

具体的にステップで見ていきましょう。

1.ゆっくり横になる(屍のポーズ)

屍のポーズはあおむけになって、両手と両足を胴体から少し離したポーズです。ボディスキャンの時と同じ姿勢になります。

屍のポーズ

この状態で今身体の感覚や呼吸の動きをしばらく観察します。

もしポーズを追加する場合は、以下参考にしてください。

基本的に好きなポーズやストレッチを追加しても構いませんが、例えば以下のようなポーズが挙げられます。

①「ガス抜きのポーズ」

ガス抜きのポーズ

②「ゆっくりと両腕を天井の方に持ち上げて、そのまま頭を通り過ぎて床まで下ろす、ゆっくりと元に位置に腕を戻す」

ポーズを追加する場合には、1つのポーズが終わるたびに屍のポーズに戻って、今の身体を感じ、ポーズの前と後でどんな変化があるか観察します。

気づきをもってゆっくり体を動かす

↓↓↓

2.ゆっくり座る(安楽座

座る瞑想

背中、後頭部、お尻が一直線になるようにします。あぐらでも構いませんが、顔は正面を向くようにします。全身の身体の力を抜いて、楽に座ります。

この状態で今身体の感覚や呼吸の動きを観察します。

もしポーズを追加する場合は、以下参考にしてください。

基本的に好きなポーズやストレッチを追加しても構いませんが、例えば以下のようなポーズが挙げられます。

「両足の裏を合わせて股関節を伸ばす」
「両足を伸ばして前屈」

ポーズを追加する場合には、1つのポーズが終わるたびに上記の座り姿勢に戻って、今の身体を感じ、ポーズの前と後でどんな変化があるか観察します。

気づきをもってゆっくり体を動かす

↓↓↓

3.ゆっくり立つ(山のポーズ)

山のポーズとは、以下のようなポーズです。

山のポーズ
  • 両足をそろえてまっすぐに立つ
  • 両足に均等に体重を乗せる
  • 背筋を伸ばす
  • 頭のてっぺんは上に引き上げる
  • 目線は正面を向き、軽くあごを引く

この状態で今身体の感覚や呼吸の動きをしばらく観察します。

もしポーズを追加する場合は、以下参考にしてください。

基本的に好きなポーズやストレッチを追加しても構いませんが、例えば以下のようなポーズが挙げられます。

①「三日月のポーズ」

三日月のポーズ

②「バランスのポーズ」

木のポーズ

③「両腕を天井の方まで伸ばして、また元の位置に戻す}

ポーズを追加する場合には、1つのポーズが終わるたびに山のポーズに戻って、今の身体を感じ、ポーズの前と後でどんな変化があるか観察します。

気づきをもってゆっくり体を動かす

↓↓↓

4.ゆっくり座る(安楽座)

座る瞑想

この状態で今身体の感覚や呼吸の動きをしばらく観察します。その後、前半と同じように座り姿勢でできるポーズを追加しても構いません。

気づきをもってゆっくり体を動かす

↓↓↓

5.ゆっくり横になる(屍のポーズ)

屍のポーズ

この状態で今身体の感覚や呼吸の動きをしばらく観察します。その後、前半と同じように座り姿勢でできるポーズを追加しても構いません。

ここまでを繰り返していきます。便宜上、横になった状態で始めてますが、このムーブメントはどの姿勢から始めても大丈夫です。

point!

・ラベリング(実況中継)
全ての動きをラベリングしながら行うことがお勧めです。自分の体の動きにあわせて、「(手を)上げる、上げる、上げる」「(足を)おろす、おろす、おろす」などラベリングしていきます。「かがむ、かがむ、かがむ」など細かな動きもラベリングしましょう。

雑念が浮かんだら、動きを止めて「雑念、雑念、雑念」とラベリングしていきます。これによって、動きが速くなったり、うわの空の状態になったりしにくくなります。

・ポーズやストレッチに迷ったら
ポーズやストレッチを追加する際に、次に何をしようかと迷う可能性があります。迷った場合には、そのことに気づき、直感的に次の動作を選択していきましょう。

どうしても考えてしまう場合には、1周目に行うポーズやストレッチだけ、あらかじめ決めておいて、2週目以降に迷ったら、1周目に決めた動作と同じものを行うとルール決めしておくと迷うことがなくなります。

マインドフル・太陽礼拝A

また、シンプルなヨガの実践として、「太陽礼拝A」もおすすめです。太陽礼拝Aは、背骨の前屈後屈を繰り返すヨガのポーズです。

以下の図の12時のポーズから、時計回りにポーズを行っていきます。

太陽礼拝A

これらを最低でも1ポーズにつき5秒以上かけて、ゆっくりと気づきをもって行います。

さらに1ポーズごとに数秒停止して、今の感覚と呼吸を観察します。

実際の太陽礼拝はもっと早く行いますが、今回は「マインドフル・太陽礼拝A」なので、時間をかけて行いましょう。

用意するもの

サイクルタイマー

当サイトでは、基本的には誘導やガイドを用いません。大きな理由の1つとしては、ガイドの言葉が今ここをあるがままに観る妨げになってしまうためです。

そのため、一定の感覚でチャイムがなるサイクルタイマーを用意しましょう。私が使っているアプリは「筋トレ」です。

筋トレタイマー

無駄な機能がなくシンプルで使用できるので、おすすめです。

また、fitbitやスマートウォッチなどの活動量計には、サイクルタイマーがついていることが一般的なので、そちらを使用しても良いでしょう。

ヨガマット

もし、床が滑りやすい、下の人に音が響くのが気になるという方は、ヨガマットを用いましょう。特に快適な環境で行うことは、マインドフル・ムーブメントに集中する上では、とても大切になります。

環境の不安要素なくし、安全に実践できる環境を整えましょう。

まとめ

マインドフル・ムーブメントは、ヨガやストレッチなどを通じて、集中的に身体の感覚に注意を向け、ネガティブ感情を軽減したり、注意力を高めたりする効果があります。

ゆっくりとした動きやラベリングを取り入れながら、自分のペースで実践することが大切です。マインドフルな状態で動くことで、日常生活でもより意識的に過ごせるようになりますよ。

ボディスキャン

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マインドフルネス実践者/Webライター(公認心理師運営サイトのライター)

幼稚園から小学校4年まで学校では一言も話せない状態を経験。その後15年間、対人不安、強迫観念などの症状に悩まされる。マインドフルネスと出会い、これらの症状とうまく付き合えるように。現在では、マインドフルネスの発信をしつつ、原始仏教の実践にも取り組んでいる。※仏教は超初心者です
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