楽しいことのあとの虚無感をなくす心理学的方法

本記事でわかること

・楽しいことの後に虚無感を感じる理由
・幸せを追いかけて不幸になる理由
・虚無感をなくす心理学的な方法

悩む女性

 

「休みが終わるのが怖い…」
「友達と遊んだ後の帰り道に虚しくなる…」
「楽しいことのあとに落ち込む…」

このような悩みを抱えていませんか?

こうした現象は心理学では、いくつか名前が付けられており、今ここを観察するというマインドフルネスの分野でよく説明されます。

今回は心理学系ライター歴5年、マインドフルネス歴7年の私の観点から、虚無感をなくす方法について解説をしていきますね。

teshy
楽しいことに期待すると、苦しくなる…

楽しいことのあとに虚無感が生まれる理由

楽しいことの後に虚無感が生まれるのはなぜなのでしょうか。まずはその理由を見ていきましょう。

幸福を追いかけて不幸になる

虚無感の原因として一番に上げられるのは、

 

  • 過去の楽しい瞬間に執着しすぎることです。

 

私たちの脳は、快感を追い求め不快感を避けるようにデザインされています。

その結果、楽しいことに執着して、「この感覚がずっと続いたらいいな」と思ってしまうのです。

この執着が強ければ強いほど、虚無感も強くなってしまいます。そしてまたさらに虚無感を埋めるために、新しい刺激を追いかけていくのです。

この虚無感には様々な名前があり、

  • 幸福の罠
  • サンデーブルース
  • 休暇後のブルース

などと呼ばれることがあります。また自分の感情をコントロールしようとして、快楽を求めたり、大事なことを回避したりすることを「コントロール戦略」といいます。

不安や虚無感をなくそうとしてもがけばもがくほど、一時的には静まるかもしれませんが、感情を強引に抑圧した結果、さらに不安や虚無感が強くなってしまうのです。

楽しいことへの過剰な期待

楽しいことへの期待が大きいと、期待に満たないものだった場合に虚無感を引き起こします。

例えば、連休でしばらく休みが続くと思ったら、瞬く間に時間が過ぎて行き、もう休みがあと1日しかないとなった時に虚無感が湧いてくるかもしれません。

繊細な女性

楽しい瞬間ほど時間を早く過ぎていくものです。連休の長さに過剰に期待してしまうと、終わりが近づいた時に「こんなものか・・・」という虚しさが湧いてきてしまいます。

期待が現実とかけ離れるほど、楽しいことの後に生じる虚無感も増えてしまうのです。

仕事のストレスを感じやすい

仕事における高いプレッシャーや責任感、緊張感が強いと、「休日にその重圧から解放される」という期待が強まります。

しかし、休日もずっと続くわけではないため、休日に得られた解放感の分、休み明けに虚無感が湧いてしまうのです。

これにより、楽しいことの後には、仕事における負担感やストレスといったネガティブな感情がより強く感じられ、虚無感が生じることがあります。

楽しいことの後の虚無感をなくす方法

アクセプタンスを学ぶ

アクセプタンスとは、

 

  • 今この瞬間に起こる体験に良い悪いという評価をつけずに、オープンに接することです。

 

苦しみやストレスは、現実に対する抵抗によって大きくなります。変えることができない現実を変えようとすればするほど、虚無感や嫌な気持ちは大きくなってしまうのです。

現実に対するアクセプタンスの力が高まれば、楽しいことが終わっても、

 

「楽しいという気持ちがなくなったな…」
「興奮が消えていっているな…」
「喜びがなくなったな…」

 

と今ある現実を客観的に認め、受け入れることができます。その結果、現実に抵抗することで生まれる虚無感も感じることがなくなるのです。

ここでは分かりやすいように、虚無感が「感じることがなくなる」、虚無感を「なくす」という表現を使っていますが、もし虚無感が現れても無くそうする必要はありません。

前述の通り、コントロール戦略にはまってしまい、かえって虚無感が強くなってしまうためです。そこで、アクセプタンスをしても虚無感が生まれるようであれば、その虚無感もオープンに受け入れて「今虚無感を感じているな…」とただ確認していきます。

アクセプタンスについてより深く知りたい方は下記をご覧ください。

マインドフルネスとアクセプタンスの違いとは?

舞い上がらないこと

楽しいことがあった時に舞い上がらないことは、現実とのギャップから生じる虚無感を緩和する鍵です。

一時的な興奮や喜びにひたるだけでなく、冷静な視点を保つことが重要です。

具体的な方法として、当ブログのメインテーマである「マインドフルネス」が挙げられます。観察や深呼吸を通じて、楽しい瞬間に浸り過ぎず、感情の起伏をコントロールすることが可能です。

瞑想

これにより、楽しみの終わりに伴う虚無感が次第に軽減され、より充実感を得ることができます。

舞い上がらないことは、一時の感情に振り回されず、より安定した心の状態を築く手段となります。

価値観に沿って行動する

マインドフルネス心理療法のACTでは、快感を追い求める代わりに、価値観に沿って行動していきます。価値観とは、「自分がどうありたいか」「何を大事にしたいか」という根源的な意欲のことです。

例えば、

  • 成長を大切にしたい
  • 家族を大切にしたい
  • ユーモアを大切にしたい
  • 人の個性を大切にしたい
  • 人に貢献することを大切にしたい

などです。自分が誇りを持てるような生き方をすることで、充実感が生まれ、虚無感を感じにくくなるのです。ただ価値に沿って生きるには、「やりたくないこと」もやらなければなりません。

成長を大事にしたいといいつも、脳は怠けたい、何もしたくない、遊びたいなどと快感を求める方向に行ってしまいます。

そのため楽な生き方ではないですが、苦しい側面もある分、充実感を持って人生を生きられると言えるでしょう。

以下の記事では、実際に価値観を見つけるためのワークをご紹介しています。価値観を見つけたいという方はぜひ参考にしてみてください。

ACT(アクト)で人生の価値を明確にする質問集

まとめ

楽しいことのあとの虚無感をなくそうと、新しい刺激を追い求めても逆効果になることが多いです。

その虚無感を受け入れて、観察し、価値観に沿って行動することで副産物的に虚無感をなくすことができます。

ぜひ、アクセプタンスやマインドフルネス、価値観を生活に取り入れて充実した生活を送ってくださいね。

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マインドフルネス実践者/Webライター(公認心理師運営サイトのライター)

幼稚園から小学校4年まで学校では一言も話せない状態を経験。その後15年間、対人不安、強迫観念などの症状に悩まされる。マインドフルネスと出会い、これらの症状とうまく付き合えるように。現在では、マインドフルネスの発信をしつつ、原始仏教の実践にも取り組んでいる。※仏教は超初心者です
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