マインドフルネスの起源・歴史とは?仏教との関係性をわかりやすく解説

歴史
本記事でわかること

・マインドフルネスの起源
・マインドフルネスの歴史
・なぜマインドフルネスはバズった?

マインドフルネスを実践したり、学んだりきていると、おのずと起源や歴史を深掘りしたくなるもの。

結論から言えば、マインドフルネスの起源は原始仏教です。パーリ語の「サティ(気づき)」が語源になっています。

今回は原始仏教〜日本にマインドフルネスが伝わり流行するまでを、超ざっくりと解説していきます!

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マインドフルネスは奥が深い…

マインドフルネスの起源「原始仏教」

ゴータマ・シッダッタの教えが起源

マインドフルネスは、今から2600前ほど前に誕生した「お釈迦様の教え」が起源。

お釈迦様の本名はゴータマ・シッダッタとされています。別名、釈尊、ゴータマ・ブッダ、釈迦牟尼仏とも呼ばれます。

釈迦族という王族に生まれ、優雅な生活をしていました。

ブッダ

しかし、常に生きる上で切っても切り離せない苦しみである、「生老病死」について考えがめぐり、これを乗り越える道を追求すべく出家を決意しました[1]

その過程で6年間激しい苦行を行いました。骨と皮だけになったお釈迦さまは、スジャータという娘から乳粥をお布施してもらい、一命を取り留めます。このことがきっかけで、苦行にも偏らず、快楽にも偏らない道「中道(八正道)」を発見して悟りを開きました。

この中道の1つがマインドフルネスなのです。

もともとの仏教は宗教ではなかった

お釈迦様は宗教を作る気はまったくなく、教えを説いているうちに、自然と教団が出来上がっていきました。

もともとの仏教は宗教というよりも、哲学や心理学に近いものだったとされています。

宗教といえば、信じるものですが、仏教の教えは真逆。

物事をあるがままに観察することの結果として、苦しみが無くなるという、論理的なものだったのです。

根本分裂で南伝・北伝に分かれる

根本分裂とは

お釈迦様が入滅したあと、○○年ごろに「根本分裂」と呼ばれる大規模な教団の分裂がありました。

これによって、諸説ありますが大衆部と上座部の2つに仏教が分かれることに。

原因は戒律違反についてのことや、阿羅漢(悟りの最終段階)の悟りを低くみることなどが原因だとされています。

大衆部と上座部の違い

大衆部と上座部はそれぞれの違いは以下の通りです。

大衆部→多くの人に教えを広めることを重視
上座部→まずは自分が悟りを開くことを重視

大衆部は現在では、より多くの人を救う乗り物という意味で「大乗仏教」と呼ばれています。

一方で、上座部仏教は、お釈迦様の教えである、

先ず自分を正しくととのえ、次いで他人を教えよ。そうすれば賢明な人は、煩わされて悩むことが無いであろう。ダンマパダ158

などの教えに基づいて、忠実に原始仏教の教えを実践する形式を取っています。また長老の教えという意味でテーラワーダ仏教と呼ばれることもあります。しかし、テーラワーダ仏教も数多くの部派に分かれ、現在でも様々な宗派が存在しています。

このうち、大衆部は「北伝仏教」と呼ばれ、チベット・中国・朝鮮・日本に伝わっていきました。

上座部は「南伝仏教」は、スリランカ・タイ・ミャンマーなどへ伝えられました。

マインドフルネスのもう1つの起源「禅」

その後、朝鮮半島の百済(くだら)から日本に伝来した仏教は、法相宗を始まりとし、様々な宗派が生まれていきました。現在では、13宗あるとされています。

なかでもマインドフルネスと関わりが深い宗派に禅宗があります。

13世紀の日本、鎌倉時代初期において、禅は独立した宗派として確立されることとなりました。

その際に禅の先駆者として、最初に天台宗で修行を積み、当時の宋に留学して禅を学んだ栄西(えいさい)と道元(どうげん)が挙げられます。

栄西は臨済宗、道元は曹洞宗を開きました。

マインドフルネスの提唱者が「道元の思想」を学ぶ

マインドフルネスの提唱であるジョン・カバッド・ジン博士は、道元や鈴木俊隆など曹洞宗の僧侶の著書に影響を受けたとされています。

カバッド・ジン博士は学生の頃から、禅を学び、そこからティック・ナット・ハンの教えや上座部仏教のヴィパッサナー瞑想を学びました。

・マインドフルネスの開発
その後、仏教のサティ(気づき)をストレスや痛みを軽減する目的で、医療分野に用いるために研究行いました。

1979 年に彼はマサチューセッツ大学医学部にストレス・クリニックを設立し、MBSR(マインドフルネスに基づくストレス低減法)を開発。

原始仏教や禅との違いは、「悟り」や「解脱」「涅槃」を目指していないこと。

あくまでも、

・健康になりたい
・生産性を高めたい
・集中力を上げたい
・ストレスを低減したい

などの個人的な目的のために行う瞑想であるということです。

一方で、禅や仏教の世界からは、自己中心的な欲を満たそうとすることで、かえって自我が強くなり、逆効果となる懸念もなされています。

MBSRについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

MBSR(マインドフルネスストレス低減法)とは?効果・やり方を解説

アメリカでマインドフルネスがバズる

そして、ジョンカバットジン博士のマインドフルネスが科学的に効果があることが実証され、アメリカで徐々に知られるようになっていきました。

とくにマインドフルネスブームに火をつけたのは、スティーブジョブズやビルゲイツなどの起業家やミランダ・カーなどのセレブが行っていたことが、メディアで報道されたこと。

もともとは医療目的で用いられていたマインドフルネスですが、

・ビジネス
・教育
・人間関係
・スポーツ

など人生の様々な領域で用いられるようになりました。

日本にマインドフルネスが逆輸入される

アメリカで起こったマインドフルネスブームは、日本でも徐々に研究されるようになりました。

ジョンカバットジン博士のマインドフルネス関連の著書の邦訳も発売されるように。

また2013年になると、日本でも海外のCEOが実践していることが話題となり、瞬く間にマインドフルネスの実践が多くの人に知られるようになりました。

まとめ

というわけで、原始仏教から始まったマインドフルネスは大衆部と上座部に分かれ、大衆部が「大乗仏教」として日本に伝来してきました。

そこから、ジョンカバッド博士が禅を学び、マインドフルネスを開発。

瞑想プログラムがブームとなり、日本に逆輸入される形となりました。

個人的にはマインドフルネスの起源や歴史を知っておくと、より本質的な意味で瞑想を実践できるようになると感じています。

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マインドフルネス実践者/Webライター(公認心理師運営サイトのライター)

幼稚園から小学校4年まで学校では一言も話せない状態を経験。その後15年間、対人不安、強迫観念などの症状に悩まされる。マインドフルネスと出会い、これらの症状とうまく付き合えるように。現在では、マインドフルネスの発信をしつつ、原始仏教の実践にも取り組んでいる。※仏教は超初心者です
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